第3話 児玉弓夏
あれから僕と氷上はすぐさまゲームセンターに行き、オーバードフレームをプレイした。さすがに本格的なゲームということで、本当にロボットを操縦するような体感があった。
そのため複雑な操作系統になっているのだが、そこは氷上から詳しく教えてもらった。また彼は前からプレイしていたため、このゲームのノウハウも丁寧に解説もしてくれたのだ。実際やってみると二人の先輩たちが熱中してプレイしていたのがよくわかる。
昼休み、僕は昨日のことを思い出しながら教室で昼食をとっていたら、突如としてクラスメイトから他のクラスに子に呼ばれていることを告げられる。誰だろうと僕の交友関係を思い出しながら出ていったら児玉弓夏さんだった。
「山賀くん、昼はもう済みましたか? 良かったら一緒に食べませんか」
僕は食べかけのパンを袋に詰め直して、彼女と一緒に愛好会室へと向かった。そして食事が終わり彼女の本題を待つ。なぜなら僕は普段から児玉さんと仲良くないからだ。
室内になんともいえない空気が漂う。それから二・三分が経過してから彼女は話しだした
「どうして山賀くんは氷上さん……でしたよね? 彼に協力することにしたんですか。噂が本当なら死ぬと言われているゲームなんですよ」
「僕はどうしても先輩たちが死んだとは思えないんだ。あの写真のこともそうだし、内密に終わらせた葬式といい」
先輩たちが事故に遭ったのは写真から見ると夕方頃だ。なのに次の日に僕たちが登校する前に葬式の全てが終わったというのは明らかにおかしい。
「それに児玉さんは先輩たちの家族から話を聞いたことある? 亡くなってから一週間ほどが経過したけど」
彼女は首を振り否定する。
「これもかなり奇妙な話だけど、先輩たちの家族も誰一人として葬儀に参加していないんだ。僕らと同じように事故が起きて、死亡しましたと言われただけみたいなんだ。報告された時には葬儀は内密に終わっていたみたいなんだ」
「もうそこまで調べ上げているとはな。さすがだな相棒」
昨日と同じように扉が開けて氷上が出てくる。部屋にいる彼女に視線を一瞬だけ向けて、僕に話しかける。
「教室にいないから探したぞ、山賀。ところでキミはそんな話を聞いてどうするんだ? 噂が怖いのだろう」
「そ……それは」
「一緒に調査したいのなら俺はいつでも歓迎する。山賀、今日はゲームセンターで集合だ。早く来いよ」
彼は要件を告げて終えたためか、去っていった。そして残される僕たち。
「山賀くんは噂が怖くないの?」
「僕だって怖くないかと聞かれれば、怖いよ。けど、先輩たちだってそれを承知でプレイしていただろうしね。それに、もし生きているとしたら僕らが優勝した果てに再会できるかもしれない。少なくとも、どうして先輩たちがそういう状況になったのかという真相は知れるはずだから」
彼女の目を見て僕は自分の決意を告げる。そして氷上が現れる前に決意をしていたこともだ。ふと部屋に設置されている時計を見る。もうそろそろ戻った方がいい時間だった。
「じゃあ、僕は行こうと思うけど、話は以上でいいんだよね」
彼女が頷き、僕が戻るために扉に手をかけたときだった。彼女に呼び止められて振りかえる。
「私も……協力します。もう一度、舞先輩に会うために」
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