第11話 祭りの終わり

 全国大会が今、目の前で終わった。司会者の相良と言う男が締めて解散となった。僕たちは意気消沈したままで帰路についていた。これから僕たちには受験というものがあり、それでゲームをする時間が減るのは確実だった。

 かつてのピアニストが言ったように一日、二日、三日休めば、必ず休んだ事実が浮き彫りになっていく。ましてや一年という比較的短時間に詰め込んだ技術である。失っていくのも早いのだ。

 またこのメンバーとの交流もどうなるのだろう。進路が違えば当然会う機会も減っていき、同じチームでの大会出場も困難になるだろう。

 僕がそう考えながら歩いているときだった。僕たちの横に黒い車の三台が突如として止まる。中から黒いスーツを着た男たちが現れ、僕たちを取り囲んだ。

 僕は状況に慌てながら、助けを呼ぶことを考える。だが、確か意識が景色に完全にいっていなかったが、ここは人通りが少なく先ほども誰もいなかったはずだ。ましてや住宅街などからも近くはない。

 黒い服の男たちの中からつい先ほどまで見ていた男が現れた。そして去年にも見ていた相良という男だ。

「やあシェムシュンのメンバー。先ほどのオーバードフレーム全国大会の様子を見ていたよ。残念ながら優勝はできなかったが、幸か不幸か君たちのチームの実力は俺たちのお眼鏡に適った」

 身ぶり手ぶりで僕たちに話しかけてきた。そして目の前の相良という男の雰囲気が一気に殺伐とした雰囲気に変わる。

「今からお前たちには二つの選択肢が用意される。事実上は一つと言えるものだがな。更には時間も取らせる。まずは車に乗れ。詳しくは着いた場所で話す」

 そうして僕たちは有無を言わせずに車に乗せられた。僕たちはそれぞれ別々の車の後部座席真ん中に座っていた。抵抗しても無駄だというのは僕たちと男たちのガタイの差から一目で分かる。

 目的地に着き僕たち三人は男たちに囲まれながら移動した。そこは大きな施設だった。セキュリティ関連も抜群そうだ。それを裏付けるように男たちがIDカードをかざし扉を開けた。

 そして一つの部屋に僕たちは連れてこられた。相良という男以外に黒服を五人部屋に入れて締められた。

 部屋の中に会議室なんかで使われていそうな人四人が並んで座れそうな机と、その机に座れるように十個の椅子が置かれている。そこに座らせられ、僕たちの反対側の椅子に相良が座った。

「まずは改めて自己紹介をしよう。俺は相良と名乗っていたが本当は違う。お前たちがいう地球とは別の惑星に生まれた男だ。本当の名前はニィズ・フェエデュン、銀河連合軍に所属する軍人だ」

 銀河連合軍と聞いて僕たちは真っ先につい先ほどまでやっていたゲームのオーバードフレームを思い出す。

「そして君たちは銀河連合軍の兵士となり、人型機動兵器であるオーヴァードフレームを操り謎の敵UEと戦うか――それとも俺たちの銀河連合軍の契約を破棄して一生監禁されるか好きな方を選んでくれ」

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