海辺の贈り物

 海辺には色々な物が流れ着く。

 流木、色とりどりの貝殻、ガラスが波と砂で削られキラキラと光るシーグラス。


 海辺を散歩するついでに、色々なものを収集する人たちもいる。


 海辺には色々な物が流れ着く。

 ゴミ、外国語の書かれた海外からのゴミ。

 骨、魚の骨、鳥の骨、ネコの骨、犬の骨、人の骨。


 その日、朝早く浜辺に出たボクは、一番最初にを見つけたんだ。

 波打ち際に留まっているソレは、所々腐って骨が見えていたけど、しっかりと形は残っている。

 不気味な見た目なのに、波に洗われているからだろうか、臭いはそれほどでもなかった。


 大きな大きな、畳くらいある大きな手のようなもの、指に針金のような毛が生えていて、指の間には膜が張っていて水掻きのようになっている。

 ソレが、ギュッと何か握っている。

 そばにあった流木で、こじ開けると何かが出てきた。


 歪な四角い箱? 金色の線で怪獣みたいな絵が描いてある。

 ボクは、それを海で洗うと急いで家に持って帰った。

 帰った後、海は大騒ぎになったみたいだ。


 家に帰って眺めたり色々いじってみたけど、どこも動きもしなかった。

 宝物ができたボクは、その箱を大事に机の引き出しにしまって、学校に行ったんだ。


 学校から帰ったら、お母さんに箱が見つかっていた。

 海で拾ったって言ったら、拾ったものは届ないといけないって、すごく怒られた。

 勝手に引き出しを開けたのは許せなかったけど、だまってた。

 お父さんが帰ってきて、三人で話をした。

 お父さんにも少し怒られたけど、箱の方に興味があったみたい。

 色々いじってたけどやっぱり開かなかった。

 箱は明日、届けることになった。


 せっかく宝物にしたのに。

 箱を膝にのせていじっていると、不意に箱が開いた。


 あれだけいじっても開かなかったのに。


 箱の中には、野球のボールより少し小さいくらいの、丸くする途中みたいな…… 真っ黒い石? 所々に赤い線が入っていて…… 

 その真っ黒い塊が、変な棒に囲まれて紐でぶら下げられて……


 ぼぉっと眺めていると、お父さんとお母さんものぞき込んできた。

 目が離せない、周りの音がいつの間にか聞こえなくなった。

 周りが暗い、お父さんたちが居るはずなのに……


 暗く暗く、光も何もない、なのにが居るのがわかる。

 赤く赤く、目を光らせて、ゆっくりとこちらを向きやってくる。


 山のように大きな影が、大きな黒い翼を広げ、三つに分かれた燃え上がる目がボクを見て笑っていた。


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