見えざる怪異
「ねぇねぇ! また、つぶされた人が出たんだって!」
朝、中学校に着いてから、クラスのみんな騒がしいと思ったら、また事件が起きたらしい。
最初は、「股をつぶされたの? ぷぷっ」なんて冗談も言っていたのだが、こう事件が多いと冗談も言えない。
と言うか、事件そのものが冗談のような状況らしい。
ボクたちの住む町におかしな事件が起こり始めたのは、夏休み中だった。
中学生の集団失踪事件。
町の中にある古い大きな家、幽霊屋敷何て呼ばれている、その御屋敷に肝試しに行って、行った人たちはみんな居なくなったそうだ。
そして、その事件が起きてすぐに、この町で変なことが起こりだした。
ボクも聞いたことがある、真夜中に何か音がする、大きな音を立てて町の中を、まるで大勢が移動するような地響きを立てて。
家が揺れ、塀を壊された家もあったし、電柱も何本も倒されて停電も頻繁に起きている。
ナニカにつぶされた車が出た、ナニカにつぶされた人が出た、何か重いものにつぶされたように。
人がつぶされた時には、大きな足跡のようなものが残っていたそうだ、その潰された人の血で。
それなのに、この騒ぎを起こしてる大きなモノを見た人が居ないんだ。
「なぁなぁ、今度、幽霊屋敷に行こうって話があるんだけど、ミノルおまえどうする?」
クラスメイトのゴローが、ひそひそ声で言ってくる。
「え? あの幽霊屋敷? 危ないんじゃないの?」
「大勢でいけば、平気じゃね? 運動部の先輩たちが集まって行こうって話しててさ」
「よけい行きずらいわ! 帰宅部だし、かんけーないじゃん」
「そうだよな、人数集めろって言われててさ~、ごめんごめん」
思えば、この時引き留めておけばよかったんだ。
ボクは、家に帰っても胸の片隅に何かが引っかかっているようでモヤモヤとした嫌な気分が晴れなかった。
今夜も大きな音が鳴り響いている。
大きな音と振動、不安な気持ちのせいで真夜中辺りまで眠れずにいると、家のドアを激しくたたく音がする、大きな声も聞こえる。
「開けてください! おねがいだから! ミノル! お願いだから開けてくれ!!」
ゴローの声だ、ボクはベッドから跳ね起きて、慌てて玄関に向かう。
家の親も起きてきている。
「クラスの友達なんだ」
ボクは、そう言ってドアを開けると、転がるようにゴローが入ってくる。
どうしたのか聞く間もなく叫び出した。
「化け物が! みんな殺されて! 喰われて! 見えなくて! 俺は逃げてきたけど、追ってきて!」
血の気が引いて、蝋のように白くなった顔で、目を血走らせ。
「見てくれ! 何か絡みついてきて無理やり振り払ったんだ!」
何かが巻き付き皮を剥いだように、血まみれの右の腕を見せて来る。
父さんは救急に連絡をしている、母さんは客間にゴローを連れて行った、落ち着かせて話を聞こうとしたんだと思う。
ボクは、ドアを開け外を見てみた。
大きな音が、家の中よりもはっきり聞こえる、何かが壊れる音も、時々人の叫び声も聞こえる。
こっちに近づいてくるように、だんだんと音が大きくなっていく。
不規則な太鼓の様な大きな足音を出し、地面を揺らして見えない何かが。
*裏設定で、この町の名前が「
(*・ω・)てへっ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます