第16話兄登場
とりあえずネットで賃貸を探してみたが
二部屋あってバストイレ付きだと
古い物件でもそれなりのお値段
娘の私立校の学費を考えると
とてもじゃないけど食べられない
そこで彼が落ち着いているときに
話してみた
現実問題、収入仕事なしの
私に部屋は借りられないと思う
何より学費を考えると生活できない
貴方からの支援があてにならない以上
せめて賃料が安いここに私たちが
残らせてほしいと
その場では納得したようだけど
しょっちゅう気が変わるから
信じてはいない
でもあとでひるがえされても
もう耳を貸さないことにした
そしてまた殴りかかってきた朝
110番しようとする娘に
止めなさいとまるで普通の親の
ように静かに声をかける彼に
あっけにとられた
誰のせいなの?興奮しても
外聞だけは気にするんだね
その日は休みだったので
心配した兄がうちに来て
彼と話しをしてくれた
「あとあともめないように
離婚協議書を作った方がいいと思う
今までのことを蒸し返して
云っても仕方ないから
もう先のことを考えていこう
弟さんたちにも離婚協議書を
作るってことで話しておいて」
と兄は淡々と言った
彼は私の兄に立会人を頼み
分かりましたと返事をした
それは大事な話しだけど
でも、それよりもう二度と妹に
手を出すなと言ってほしかったかな
もちろんなんのカセにもならないけど
とにかく彼を普通の大人扱いした時点
で多分兄の負け
彼は話を理解してないし
約束は守られないだろう
「自分のことだけ考えることの
どこがいけないんだ!」
と普通に主張して
親権はマッハの速さで捨て去った人
兄には感謝してるし
迷惑もかけてると思う
だけど私や娘の気持ちは肉親にさえ
わかってもらえないんだという
切なさを改めて感じた
娘とは、結局外の人には分からないよね
となぐさめあった
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