第20話願ったり叶ったり

くたくたなのに眠れなかった翌朝

とにかくオットが家を出てから

するはずだった離婚届を提出に行った


無職、無収入じゃ部屋も借りられないから

まず仕事を探せというアドバイスも

あったが、この1か月は

いつ暴れ出すか分からない元オットに

怯え緊張がとける時がなかった

私と娘は一刻も早く安心して住める

部屋が欲しかった


とにかく今すぐできることも元気もないが

離婚届の提出のついでに役所の窓口に

現状を話し相談をしてみた


すぐには無理だけど避難所が

あることを教えてもらい

次の部署の担当の人に詳しい話をした

すると短期の避難所に空きがあり

なんとすぐ入れることになった


たとえ短期でも居場所が確保できれば

その間に住むところを探せるかもしれない

少しだけ希望が見えた


その日は昼間に予約したビジネスホテルに

泊まることになっていた

部屋につきメールのチェックをすると

兄から友達の実家が借りられるかも

というメールが来てた

なんでも一緒に飲んでて私の話題になり

そういう話になったそうだ


まずは部屋を見てからということらしいが

私の中では見なくともほぼ決まりだった

貸してくれる人をいちから探すより

古かろうがなんだろうが

すぐに入れるならその方が

断然ありがたい!

とんとん拍子にいけば

避難所を出なければならない日までに

引っ越しが間に合うかもしれない


翌々日にはさっそく部屋を見に行き

お友達にもあいさつができて

借りることが本決まりとなった!


どん底から一転して順調すぎて

怖いぐらいだ

でもまだ私達の荷物は前の家に

全部残したままだ

元オットがいなさそうな平日を見計らって

娘と何度も自転車で軽いものを兄の家に

運んだ。

左右の確認をして中をうかがい

まるで夜逃げか泥棒だ


その後、元オットが兄の家に

私が浮気してると電話をしてきたので

ついでに元オットが家にいない日を

確認してくれた

その日にレンタカーを借り

兄と大物を運びだすことになった

休む間もなく身体はクタクタだったが

先が見えてきたのでその夜は

三日ぶりにまともに寝ることができた


色々なことがいっぺんにおきて

もう何カ月も経っているような気がする

でもまだ110番した日から

数えるほどの日にちしか経っていない

いったい何が起きているのだろう?


全部揃ってなくても不便でも

ライフラインが揃ったら引っ越しだ

当初の予定とは全く違うことになったが

主だったことが本当にひと月以内に

終わりそうで驚いている


ずっと別れたいと思ってた

でも事が急激に動き始めたのは

今年の初詣で離婚したいと神様に宣言して

その後、縁切りのお参りに行ってからだ

あとは止める暇も術もなかった


それでも次のステップへの道まで

用意して頂いたことに

ただただ感謝しかない

できないことなんかなかった

自分で無理だと思いこんでただけだった

私はこれから娘と幸せになる

そして今まで手に入れられなかった

ほんとうの家庭を作る










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