第19話リセット

その翌日

私と娘は外出していて夕方に戻ってきた

すると待ち構えていたような彼が

「部屋も保証人も全部断ったから

 なんで俺が出て行かないといけない

 の?」

とまた言い出した

頭が真っ白になった

これだけ手間暇かけさせられ

やっとの思いで見つけて

希望が見えてきたとこなのに

「何言ってんの? ふざけんな!」

もうなにも考えられなかった

純粋な怒りだけがそこにあった


向こうも同じように怒鳴りだし

お約束でなぐられた

止めに入った娘にも手を思いっきり

振り上げたので思わず娘を押しのけ

足もとを押して転ばせた

部屋の中では逃げ場がないので

外におびきだしなんとかドアの外に

締め出すことができた


心臓がバクバクしてる

兄に電話して続いて110番をした

DVで興奮して手が付けられないこと

いまは外に閉め出してることを話した

 

まもなくおまわりさんたちが到着した

まずはそれぞれ別に話を聞かれた

DVはまず引き離すことということで

今夜行くとこありますかと聞かれ

兄に近くのビジネスホテルを

予約してもらうことにした

怖くてもうここには戻れないと思った

その辺の着替えを詰め込んで娘は兄と

一足先に私の実家へ行った


私は荷物を持って警察へ

ボックス車のようなものだったけど

中からはドアが開けられないと言われ

へぇ~とこんな時だが感心してしまった

そしてそこから延々と話したり

殴られたところの写真を撮られたり

よくガマンしてましたねと言われたり

今後の注意点や私関係の電話番号を

登録したので次回の110番は

緊急扱いになりますみたいなことを言われ

あー安心かなぁと思うけど

疲れすぎて感情がマヒしてる

結局なぐられたらやり返さず

即110番が一番訴えるにはいいらしい


終わってから警察の方に

実家まで送ってもらい

その車中で私の話をきいてくれた人が

なにかあったら電話してくださいと

名刺をくれた

あとでその名刺を見たら字は違うが

彼と同じ名前だったので申し訳ないが

一瞬イラッとした


実家で一息ついてから娘とホテルに向かった

お腹はすいてないけどコンビニで

食べ物を買いチェックインして

ベッドに倒れ込んだ

疲れすぎて娘とも会話が成り立たない

この先どうなっていくのか

どうしたらいいのか

考える元気もないが

くたくたなのに眠れなかった










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