第2話なんの問題なのか

解放の言葉を聞いた直後に

私の取った行動は

なによりもまず

兄や仲の良い友人に

離婚するというメッセージを

送ったこと

なぜかというとそうしないと

自分の決意がゆらぐかもしれないから


彼が脳出血で倒れて

半身麻痺、言語障害、

そして高次脳機能障害となったのは

娘がもう少しで4才になる頃だった


あれから12年

そして同じ年月だけ

妄想による泥棒扱いと

日常会話の中の

悪意さえ感じるような

解釈のねじまげの挙げ句の

一方的な怒り

そしてそれがいつ始まるのか

息を潜めるような日々


私が、いくらそういう意味じゃない

と言葉をかえ表現を変え説明しても

「お前はこう言った」と

頑固に同じことを言い続ける人に

いったいなにを言えばいいのだろう?

言葉が通じない

気持ちも通じない

心はさらに遠い

むなしさと無力感しかなかった


なお悪いことに外面はかなりいい

小学生だった娘があっけに

とられたぐらいに、、、

「よその人には

 気持ち悪いぐらいニヤニヤしてた

 たくさんしゃべってた

 知らない人みたいだったよ」

そうあれはうちにいる人とは別人

でもよその人には到底そのことを

わかってもらえない

「彼は優しいでしょう」

数え切れないぐらいの人たちに

そう言われてきた

そう、確かによその人には優しい

私にさえ結婚前はまだ優しい態度は

捨てていなかった

でも結婚と同時に知らない人になった

そして同時に、私の終わりない

孤独感がスタートした






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る