第15話テスト前

タイミングの悪さは

引っ越しシーズンだけではなく

娘の学年末のテスト前と重なっていた


こんな状況でごめんよと

心の中で手を合わせてはいたが

テストの初日が終わって

赤点かもしれないと

帰宅してつぶやく娘に

いーよいーよ進級さえ

なんとかできれば

こんな状態で勉強できるわきゃない

と答えるしかなかった


娘の話を聞いていると

今まではなんとか見ないふり

気づかないふりしてきたものが

そうも言っていられないこととなり

いざ直視してみるともうほんとに

ばがばかしくてやってらんない

という気持ちになったようだ

そりゃ、、、なるよね


彼は何日か気分は落ち着いているが

「どうしても分からないんだ

 なぜ盗むのか

 どこに隠しているのか」

「それからどうやったのかが

 わからない 夜は娘と寝てるのに

 どうやって浮気したのか」

なんてほざいてる

ほんとだ ばがばかしくて

やってらんない

薬は妄想には効果ないね


でもここで娘が静かに声をかけた

名字で彼に呼びかけ

もう離婚する事は決まってるんだから

そんなこと言っても仕方ないですよと

天晴れ!!

腹の中は煮えくり返ってるかもだけど

実に落ち着いた態度!

持つべきものは子供だな


とにかく期待薄ではあるけど

テストが終わったら

部屋を探し始めましょう

それだけが唯一の解放への道

まだまだ長そうだよね、、

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