概要
それを、拾い上げる一人の男。
彼が持つ裏の顔は、復讐代行屋ルーシー。
ときに依頼を受け、ときに自ら人の恨みを買い、それを晴らす。
神か仏が、彼にその役目を与えたか、彼自ら、その道に堕ちたか。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!彼が《恨み》を数え終わることはない
恨みを買い続ける謎の男《ルーシー》……
その恨みがどのような由縁であろうと、彼は依頼人のかわりに復讐をする。恨みは決してなくなることはなく、増え続ける。故に彼は、恨みをただ数えるのだ。
人間そのものが理にかなったいきものではないように、人間が持ちうる恨みもまた節義や倫理にかなったものとはいえません。逆恨みもあれば、冤罪による恨みもある。恨まれるものが悪で、恨む側が善であるとはかぎりません。
復讐を買って出る彼もまた、法律という基準のもとではあきらかに有罪ですが、その本質は善でもなく、悪でもなく、まして正義でもないのです。敢えていうならば、善か、悪か、という基準で考えることが、既に主観なのか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!恨み、買います。
葬儀屋で働く主人公のもう一つの顔は復讐代行屋。
それだけでもワクワクしそうなのに、作者の手によって進んでいく文面にはそれだけではない何かが見え隠れしてくる。
恨み、買います。
キャッチーな台詞に熱量のない冷徹な主人公ルーシーのキャラクターにどんどん惹かれてしまいました。
ルーシーの目的は何なのか、なんでこんなことをしているのか最後の最後まで分かりません。
でも展開はどんどん進んでいくからスクロールする指が止まりません。
そのナチュラルな引っ張り方がズルい・・・。
そして本当のラストで点と点が結びつき「そう来たか・・・」とひとりスマホの前で唸ってしまう。
ヒーローでも悪でも神でも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!静かに、ただ静かに男は数える
ルーシーという男。彼はただただ、人の恨みを買う。すくいとるように買っていく。
恨みを題材に描かれた本作。淡々とした静かな文章は内容にも伴って冷たく、また読者にじわじわと恐怖を与えることでしょう。しかし、これは単に恐怖を煽るものではなく、深く濃い人間の闇を描いたドラマであるのだと思います。
ルーシーの生き方に、共感は出来ないかもしれない。でも、心に訴えかけるものがある。
恨みの種がまかれた後、人は怒りに狂う生き物です。その場合、対象の人生を止めることも厭わない。人間というのはつくづく難しいですね。考えさせられました。
短いながら、一話一話が濃いので読み応えがあると思います。
また、この作品を…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ルーシーは笑わない。悲しいからでも面白くないからでもない。
ルーシーと呼ばれる男はただひたすら人間を殺し続けます。
闇から闇へと渡り歩きながら、ただ淡々と人を殺し続けます。
殺されるのはひとから恨みを買った人間です。
しかし読み進めていくうちにひとから恨みを買った人間とは義賊的なヒーローに殺される悪役ではないことが分かってきます。
恨みとは何か。
人は何のために生き、そして死ぬのか。
そこに意味などないのではないか。
ルーシーはけして正義ではありません。
ただ人を殺し続ける男です。
「恨まれることは恐ろしい」とか、「恨みを買った奴は悪だ」とか、そんな単純な話ではなく、同時に、復讐をするということはどういうことなのか考えさせられます。
恨みはいつまでも…続きを読む