静かに、ただ静かに男は数える

ルーシーという男。彼はただただ、人の恨みを買う。すくいとるように買っていく。
恨みを題材に描かれた本作。淡々とした静かな文章は内容にも伴って冷たく、また読者にじわじわと恐怖を与えることでしょう。しかし、これは単に恐怖を煽るものではなく、深く濃い人間の闇を描いたドラマであるのだと思います。
ルーシーの生き方に、共感は出来ないかもしれない。でも、心に訴えかけるものがある。
恨みの種がまかれた後、人は怒りに狂う生き物です。その場合、対象の人生を止めることも厭わない。人間というのはつくづく難しいですね。考えさせられました。
短いながら、一話一話が濃いので読み応えがあると思います。

また、この作品を映像で観てみたいなあと、ダークな作品が大好きな私なんかはそう思ってしまうのですが、深夜帯の連続ドラマで放送されたりしませんかね…それくらいのめり込んでしまいました。

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