高校生といえば、バラ色の青春。甘くて切なくて、楽しくてもどかしいそんな時間が詰まっている。それは、この数名高校も例外じゃなく、生徒たち全員がそれぞれ青春の一ページを生きている。
人気者の王子様に困っていたり、子犬系男子に片思いしていたり、ちょっと怖そうな先輩と思わぬ共通点があったり、過保護な幼馴染に振り回されたりと様々。
自分のスタイルを貫く一方で繊細な一面もあれば、何気ない言葉に励まされることもある。それが彼らに響いたとき、彼女たちも新しい世界に飛び込める。
自分の気持ちを伝えるのって、案外難しいものです。伝わっていなかったり、すれ違ったりすることもしばしばで、うまくいかないことがよくあります。
時間に押されて、立ち止まったり迷うことも。悩んで悔やんで、必死に考えて、答えを見つけて。そうして大人になっていく……
そんな高校時代が丁寧に、そして軽快に綴られています。
日常すべてがドラマティックに見えてくる。
本作は連作短編です。前話に出てくる子たちがどんな風に生活しているのか、どうなっていくのか、その経過も想像できるので、飽きずにスルスルと読めてしまいます。あっという間に読み終えてしまいました。
また、個性豊かな数名高校の生徒たちなので、気がつけば彼らと同じ時間を過ごしているような気分になります。すごく楽しかったです。
大事なことを教えてくれる九つの物語。
青春ど真ん中の子たちはもちろん、大人も童心に帰れるオススメの作品です。ぜひ、ご一読ください。