★★★ Excellent!!! 真実を写し得る眼に写されてみる覚悟は、あるだろうか。 馳月基矢 才能って何だろう? 目に見えない、テストや検査で測れない、つかみどころがない。 けれども確かに、どんな分野でも何かにつけて取り沙汰される。 才能というものは存在し、人によってその多寡が異なるらしい。 どちらも若くて繊細な、才能に溢れた人と平凡さを自覚する人。 世界を翻訳してみたいと望む切実な心はよく似ているけれども、 傷つけることや傷つけられることを恐れれば、触れ合えない。 振り返って、私自身はどうだろう? 打ち砕かれたり嫉妬したり曲解したり、しなくなってきました。 物凄さに衝撃を受けたり悔しくなったりすることはあるけれど、 さんざん痛い目に遭って、したたかに開き直れてきたようです。 くるしくなったときに、また読みたい。 レビューいいね! 0 2018年2月19日 12:52
★★★ Excellent!!! 書くことは勇気のいること 荒河 真 表現する方法にも色々あって、例えば綺麗に見えるテクニックをふんだんに使ってひたすら見映えを追求したようなものだって一つの方法だし、そういうのを好む消費者だっている。しかし、この小説に登場する女性二人が追っている表現は違う。彼女らが追っているのは、自分の中に入っているものを実直に見つめ直し、世界で自分一人にしかできないような方法で見ているものを”翻訳”することだ。それはとても勇気の必要な行為で、全部出し切った作品が評価されなかったらどうしよう、自分に才能なんてなかったらどうしようという恐怖が常に付きまとう。それでも、愚直に書き続けることしかできないし、結局表現者ってそういう生き物だよね。表現を志す多くの人に響く短編小説だと思います。 レビューいいね! 0 2018年1月21日 12:05
★★ Very Good!! 境目を挟んだ二人は同じなのだろうか? 深川 七草 書く人の比率が高いと思われるカクヨムの読者には、特に感じるところがある作品だと思います。 芸術や創作なんて言われるものには共通点があるのかもしれない。 主人公が探すべきものと、見つけられるものは一緒なのだろうか? レビューいいね! 0 2018年1月13日 01:19
★★★ Excellent!!! 読む前から覚悟はしていた。――ああ、苦しい。 坂水 カクヨム登録者二十五歳以上の六割を殺す物語ではないでしょうか。創作にもがく人々の話はあまりに自らを投射するので避ける傾向だったのですが、〝彼女〟が出てくるのならば読まねばならない。結果、殺され、でもまたキーボードを打ち付けているのですから不思議なものです。 さて、下記は「カクヨム金のたまご」 髙橋剛氏の言葉の引用です。(勝手にして怒られるかなあ、多分、大丈夫だと思いたい) 『リアリティには文字… 続きを読む レビューいいね! 1 2018年1月7日 12:36
★★★ Excellent!!! これは天才の物語です 海野しぃる これは天才の物語です。 この言葉は白旗のようなものだ。 あまりに美しいストーリーライン、あまりに美しい文章、そのまま商品にしてしまえるのではなかろうかという作品だった。 勿論面白い。勿論惹かれる。 だがそういうことじゃないのだ。 この作品は天才を美しく丁寧に精緻に描いた話であり、その描写の見事さに私はすっかりやられてしまった。 きっとこれを読む貴方も同じ感想を持つことだろう。 そ… 続きを読む レビューいいね! 0 2018年1月6日 13:34
★★★ Excellent!!! 生きて、悩んで、先へ行く 古田 沢音 本気で表現したものを他人の目に晒すって、とても勇気のいることだと思うのです。そのうち迎合して他人の喜びそうなものを作り始めたり、生活に紛れて表現することをやめてしまったり。 作中の女子二人も怖さを抱えて、でもその先へ行こうとしている。私、この子たちなら大丈夫だと思えるんです。応援したい。安物のワイン一瓶差し出すくらいしかできませんけど。 読者に応援する手段を考えさせるくらい、この子たちは生きてい… 続きを読む レビューいいね! 0 2018年1月5日 23:24
★★★ Excellent!!! ワナビあるあるすぎて泣ける あきよし全一 これはラノベではありません。一度でも作家を志し、物語を完結させるという壁にぶつかった者が感じる、よくある体験談です。 しかし新鮮な視点があります。壁を乗り越え作家になった、先を行く人々の視点が見られるということです。 ……怖いんだ、やっぱり。 自分は小説の才能がありません。ひとりっきりで物を書く孤独に耐えられないのです。 それでも書ける文章があるのではないか、そんな気持ちがぼんやり浮き沈みしてい… 続きを読む レビューいいね! 0 2018年1月2日 11:16
★★★ Excellent!!! この一文に震えました @kuronekoya >自分に生まれた負の感情をごまかさずに受けとめれば、それは健やかな燃料に変わるはずだ それはきっと創作に関わる人だけでなく、すべての人に同じく響く言葉だろうと 創作に「しなきゃ」って感情はどうなんだろう? って思ったけれど、たぶん何かを創り出す人はそんな気持ちに突き動かされているんでしょう 何かを創る人ではない私はそう受け止めました レビューいいね! 0 2018年1月1日 11:59
★★★ Excellent!!! 自分と向き合う辛さを丁寧に描いた傑作 左安倍虎 自分には、ほんとうは才能などないのではないか──これは、創作に携わるものなら誰でも一度はもったことのある恐怖だ。 そんなことはない、と心の中で打ち消していても、圧倒的な「本物」の才能の輝きを目にしたとき、創作者は徹底的に打ちのめされ、惨めなまでに萎れてしまう。そして、天才を受け入れることのできない自分の小ささにもまた、ショックを受けるのだ。 この作品は、そんな残酷な現実を突きつけられた主人公の挫… 続きを読む レビューいいね! 0 2017年12月30日 13:11