書くことは勇気のいること

表現する方法にも色々あって、例えば綺麗に見えるテクニックをふんだんに使ってひたすら見映えを追求したようなものだって一つの方法だし、そういうのを好む消費者だっている。しかし、この小説に登場する女性二人が追っている表現は違う。彼女らが追っているのは、自分の中に入っているものを実直に見つめ直し、世界で自分一人にしかできないような方法で見ているものを”翻訳”することだ。それはとても勇気の必要な行為で、全部出し切った作品が評価されなかったらどうしよう、自分に才能なんてなかったらどうしようという恐怖が常に付きまとう。それでも、愚直に書き続けることしかできないし、結局表現者ってそういう生き物だよね。表現を志す多くの人に響く短編小説だと思います。

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