★★★ Excellent!!! いつも見守っていてくれたのは、割烹着がよく似合うお母ちゃん。 薄荷羽亭 幼い頃から嫌いなものが多かった主人公。 世間に息苦しさを感じ、突き放していくことで自分の世界を狭め、殻に閉じこもるようになってしまった。 その殻をノックするわけでもなく、諭すでもなく、甘くて香ばしいクッキーの匂いと一緒に、ミトンをつけた手で手招きするお母ちゃん。 「美味しいでしょ? 秘訣はこのバターなの」 と、理由を教えてくれたけど、美味しい訳はそれだけじゃないことを仄かに感じた。 主人公の嫌いだったものたちを、美味しく楽しく料理していっちゃうお母ちゃん。 辛い悩みを、優しく包み込むような文章で綴られる様子がとても心地良いです。 母の味を受け継いでゆく、当たり前なようで難しいけれど、愛情のレシピはしっかりと伝わるのです。 レビューいいね! 1 2020年7月6日 14:54
★★★ Excellent!!! その気持ちが嬉しかったよ 荒河 真 家族を愛する形は様々なものがあるけれど、それがどんな形であろうと、その人のことを思う気持ちがこもっていることが一番嬉しいし、その気持ちが前向きに生きる力を与えてくれる。 母親が子供に向けるありったけの愛情と、その愛情にめいいっぱい助けられて成長してきた子供の、素敵な短編です。 レビューいいね! 1 2018年1月20日 15:38
★★★ Excellent!!! 母であり娘である私にはたまらんです 南 伽耶子 男の子の母であり同時に娘でもある私にはたまらない気分になる物語。 ついつい言葉で伝えてしまう、しかも微妙な機微をとらえるのを恐れ、一方通行になってしまう、そんな自分の子育てを反省してしまう。自分は子供に何を残せるだろうかと。 作中のお母様は心配なことを言葉で問い詰めず、ひたすらユーモアにくるみ、娘さんがそこから自力で周囲とかかわっていけるよう、配慮する。おいしいものの力で。 味覚的に美味なものを作っても、そこに食べる側の心が来なければ、おいしいとは思えない。心ここにあらずでは、何を作っても砂を噛むよう。 それに気づき、もう大丈夫だよとお母さんにささやく「私」の強さが愛しい。 おいしく栄養になる、優れた作品。こういう作品がもっと注目されるべき。 レビューいいね! 1 2018年1月4日 11:16
★★★ Excellent!!! かけがえのない人へ ロドリーゴ 諭すでもなく、説教するでもなく、子どもに何かを授ける……親ってこうありたいものです。 お母さんの愛情があふれていて、読んでいて幸せになりました。 次第に温まっていく語り口も、静かな感情の高まりを感じて、グッときました。 レビューいいね! 1 2017年8月28日 00:06
★★★ Excellent!!! 今の自分を育ててくれたものとは? 関川 二尋 味わい深い、どこかエッセイのような、しみじみとした短編です。 タイトル通り『わたし』を育ててくれたものの、数々の思い出が暖かく描かれています。 この作者様の書く文章はとても雰囲気が良く、一人称で淡々と書かれた物語の中に、暖かで寂しげな情景が浮かび上がってきます。 語り手の『わたし』が身近でリアルな人間に感じられ、そのわたしを育てたものが自分の身近に、大事なものとして迫ってきます。 味わい深い作品… 続きを読む レビューいいね! 1 2017年8月27日 13:04
★★★ Excellent!!! 雨が嫌い。ならばとお母ちゃんは雨の日にクッキーを焼いてくれる 花梨 「嫌い」から「好き」になってもらう。 その為に、お母ちゃんは時間と愛を費やしてくれました。 成長していく子供ならば、次第に嫌いなものが増えていくもの。 好きだけの世界ではいられない事に絶望することもあります。 そんな時に、世界を彩のあるものに変えてくれたお母ちゃんという存在、私にもいました。 親子の日常が短くも丁寧に描かれており、終盤涙が出てきました。 食べ物はあたたかい。お母ちゃんもあたたかい… 続きを読む レビューいいね! 0 2017年6月8日 18:54
★★★ Excellent!!! あなたには卵焼きが甘くないとちょっと変に感じる魔法をかける 吉岡梅 雨が嫌い。遠足が嫌い。いろいろな物ごとを好きになるのが下手な「私」。そのせいで世界が狭くなってしまう事に気づかないふりをして過ごす日々。そんな「私」にお母ちゃんが料理を作ってくれる「美味しい話」です。 いろんなクッキーに、ボリュームたっぷりのサンドイッチ、豚にくの肉じゃがに甘い卵焼き。とにかく出てくる料理が美味しそうです。 お母ちゃんの料理は不思議なもので、私も肉じゃがは豚肉、卵焼きは甘いも… 続きを読む レビューいいね! 0 2017年6月3日 21:25