わたしを育ててくれたもの

作者 犬飼鯛音

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★★★ Excellent!!!

家族を愛する形は様々なものがあるけれど、それがどんな形であろうと、その人のことを思う気持ちがこもっていることが一番嬉しいし、その気持ちが前向きに生きる力を与えてくれる。
母親が子供に向けるありったけの愛情と、その愛情にめいいっぱい助けられて成長してきた子供の、素敵な短編です。

★★★ Excellent!!!

男の子の母であり同時に娘でもある私にはたまらない気分になる物語。
ついつい言葉で伝えてしまう、しかも微妙な機微をとらえるのを恐れ、一方通行になってしまう、そんな自分の子育てを反省してしまう。自分は子供に何を残せるだろうかと。
作中のお母様は心配なことを言葉で問い詰めず、ひたすらユーモアにくるみ、娘さんがそこから自力で周囲とかかわっていけるよう、配慮する。おいしいものの力で。
味覚的に美味なものを作っても、そこに食べる側の心が来なければ、おいしいとは思えない。心ここにあらずでは、何を作っても砂を噛むよう。
それに気づき、もう大丈夫だよとお母さんにささやく「私」の強さが愛しい。

おいしく栄養になる、優れた作品。こういう作品がもっと注目されるべき。

★★★ Excellent!!!

味わい深い、どこかエッセイのような、しみじみとした短編です。
タイトル通り『わたし』を育ててくれたものの、数々の思い出が暖かく描かれています。
この作者様の書く文章はとても雰囲気が良く、一人称で淡々と書かれた物語の中に、暖かで寂しげな情景が浮かび上がってきます。
語り手の『わたし』が身近でリアルな人間に感じられ、そのわたしを育てたものが自分の身近に、大事なものとして迫ってきます。
味わい深い作品です、ぜひ読んでみてください!

★★★ Excellent!!!

不器用な子供が母親の愛と手間のこもった料理によって、色々なことを好きになっていくお話ですが、出てくるクッキーやサンドイッチがとにかく美味しそうで、夜中なんかに読むと、口さみしくなること請け合いですw
懐かしのお袋の味と、あの味にこもった母親の愛を思い出せる優しい物語でした。

★★★ Excellent!!!

このお話を読んでいると「人間の体をつくっているのは食べたものである」という生命の基本にまで還ってしまうような感覚になります。

あらゆるものを嫌いと感じてしまうその体を構築し、命を支えているのは、自分を深く愛してくれる大好きな人の美味しい料理たち。
それを糧に成長してきた主人公が、押し寄せる嫌なものたちや厳しい現実に潰されてしまうはずがない。決して。
そんなことを感じました。

個人的に、お母さんでもおふくろさんでもママでもマミーでもなく「お母ちゃん」なのがこの話がとくにあったかくて、旨みを感じるポイントだと思います!!!

★★★ Excellent!!!

「嫌い」から「好き」になってもらう。
その為に、お母ちゃんは時間と愛を費やしてくれました。
成長していく子供ならば、次第に嫌いなものが増えていくもの。
好きだけの世界ではいられない事に絶望することもあります。
そんな時に、世界を彩のあるものに変えてくれたお母ちゃんという存在、私にもいました。
親子の日常が短くも丁寧に描かれており、終盤涙が出てきました。
食べ物はあたたかい。お母ちゃんもあたたかい。
ありがとうと母親に感謝したくなるお話です。

★★★ Excellent!!!

雨が嫌い。遠足が嫌い。いろいろな物ごとを好きになるのが下手な「私」。そのせいで世界が狭くなってしまう事に気づかないふりをして過ごす日々。そんな「私」にお母ちゃんが料理を作ってくれる「美味しい話」です。

いろんなクッキーに、ボリュームたっぷりのサンドイッチ、豚にくの肉じゃがに甘い卵焼き。とにかく出てくる料理が美味しそうです。

お母ちゃんの料理は不思議なもので、私も肉じゃがは豚肉、卵焼きは甘いものでないと、ちょっとびっくりしてしまう呪いにかかっています。それ以外は、スペシャルなのです。

きっとこのお話のお母ちゃんも、とても素敵な魔法使いだったのでしょう。味だけでなく量まで工夫して、「私」に良く効く魔法や呪いを惜しみなく披露してくれます。

「私」はこの呪いを受け継ぐのかな、次の被害者は覚悟しとけよ羨ましい。そんな風に思える素敵なお話でした。

お母ちゃんの魔法の被害者であれば、是非ご一読を。