母であり娘である私にはたまらんです

男の子の母であり同時に娘でもある私にはたまらない気分になる物語。
ついつい言葉で伝えてしまう、しかも微妙な機微をとらえるのを恐れ、一方通行になってしまう、そんな自分の子育てを反省してしまう。自分は子供に何を残せるだろうかと。
作中のお母様は心配なことを言葉で問い詰めず、ひたすらユーモアにくるみ、娘さんがそこから自力で周囲とかかわっていけるよう、配慮する。おいしいものの力で。
味覚的に美味なものを作っても、そこに食べる側の心が来なければ、おいしいとは思えない。心ここにあらずでは、何を作っても砂を噛むよう。
それに気づき、もう大丈夫だよとお母さんにささやく「私」の強さが愛しい。

おいしく栄養になる、優れた作品。こういう作品がもっと注目されるべき。

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