金髪の男

作者 鳥海勇嗣

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★★★ Excellent!!!

この小説の主人公は、建設現場に派遣されている日雇い労働者です。彼らがいないと建設もままならないし、働いて散財して経済を回しているので必要な存在ですが、一般的には人々から「底辺」とみなされ、時には見下される存在だと思います。そんな底辺の主人公から見た世界が時折ユーモアを交えながら淡々と語られていきます。貧困の悪循環に嵌って抜け出せず、社会から搾取される存在であることを自覚しながらも、同じくらい惨めな同僚たちを鼻で笑いながら日々を過ごしています。僕はこれを読みながら、ここで語られている内容が決して他人事には思えませんでした。資本主義社会の残酷な部分を炙り出すような描写、さらに読者に自分を顧みさせるような構造を作り出す終わり方もとても秀逸だと思いました。

★★★ Excellent!!!

主人公の目を通して語られる世界はこれほど欺瞞で飾られた醜悪さに満ち満ちている。

それでもそうやって語られる世界に安堵感を感じてしまうのは、これが絶望者のために語られる絶望者による哀歌だからではないかと思うのです。

結局のところ、その哀切さに美を感じざるを得ないことは人間の不可思議さであり、救いなのだと思うのです。

★★ Very Good!!

 安い靴底みたいに、ひたすらすり減っていく人生を送る若者が主人公です。最後に見た夢は何だったのか。

 庭の石を取り除いたとき、その下に展開される小さな生き物の競演に身の毛がよだったことがあるでしょうか。

 あらゆるツールがどう隠そうと、その世界は確かにあるのです。
 楽しい作品ではないけれど。なんとなく、惹かれます。

 村上春樹っぽさは感じましたけど。残念、僕は龍の方が好きです。
 でもいい作品ですよ。