茅花
鳴る蟬の音に、頭が白く濁る。濁った頭を理が支配しようとする。私はそこから逃れられないでいる。蟬の精緻な諸器官が私を現在へ差し戻す。踏み出す足は既に措定されている。私が見るのはいつも光と否定形としての陰であって、その引力が私を規定する。それが何の欠如か、欠如している私には解らない。
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