わやわや
その日は全く眠気が起きず、酒を飲めども酔いもせず、仕方がないから街へ出た。人気のない仲見世を歩いていると前も後も段々解らなくなってきた。雷門も宝蔵門も彼方に霞んで区別がない。歩いていると一つだけ、店の灯りが点いていた。出てきた主人らしき男が此方を見て、にゅう、と口角を釣り上げた。
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