Entanglers　― 愛は無窮に充ち、そして朽ちる ―

　二十一世紀末、未だ人類は異系知性体との明確なコンタクトを経験していなかった。しかし、人類の集合意識といえるジェムラインはその蓋然性が高まる中、その脅威を抑え人類の生存を有利に導くべく人類播種計画を実行した。
　この計画によってエンタングラーのタイエンとカティは、地球から五十光年彼方の惑星ユングリムに精神転送され、異形の姿となって生まれ変わった。
　この未開の星にあってふたりはジェムラインの管理下で生活せざる得なかった。しかし、カティはジェムラインを忌み嫌い、決して馴染もうとはしない。タイエンはそんなカティから逃げるように刀鍛冶に没頭し、ふたりの関係は危機を迎える。
　ふたりの愛は時空を超えて、地球にも大きな影響を及ぼすことになる。エンタングラーは人類の希望であり救いであると同時に、悪魔的な災厄ともなりえたからだ。