入院二回目その2 副作用

 入院したのは妊娠20週ごろ。でも、「35週までは入院してもらう」と主治医から宣言されてしまい、相当なショックでした。

 初期から体調が悪くつわりも激しく長く、やっと安定期に入りつつあったのになんなんだ、と。今思い返しても、わたしには安定期などというものはありませんでした。

 とは言え、もともと家でじっとしていることは嫌いではなく、寧ろ好きな方です。なので、寝てばかりの入院生活には思ったよりもストレスを感じずに済みました。

「こんなにダラダラのんびりできるのも、もしかしたら人生で最後かも」とか、「最後でなくとも、生まれたら当分はのんびりできないだろうから今のうちに」くらいの考えでした。

 妊娠中にやってみたかった事はほとんど出来なかった。楽しみにしていた赤ちゃん用品の買い物も産後数ヶ月経って初めて行けたくらいだったし、マタニティヨガもしてみたかったけど無理だったし、マタニティの服でもおしゃれしてみたかったけどそれどころじゃなかった。

 けれど、あんなに上げ膳据え膳でゴロゴロ昼寝自由な生活なんて、そうそうできません。流石に最後の方は飽きてましたが。笑


 おりものの細菌に関しては、一週間の膣錠で完治しました。その膣錠。結構大きくて、チラッとしか見てませんが5mm~1cmくらいの白い乾いた錠材でした。これがまた痛い。でも効果はテキメンでした。


 わたしは担当医の顔を見る度に点滴が嫌だとだだをこねる困った患者だった。入院時の子宮頚管は2.6cm。3cmになったら一度点滴を外す事を考えましょうと言われ、一気にやる気になりました。

 気合いを入れて安静に励む、と言うと変かもしれませんが正にそんな感じ。一週間後の診察では3cmに伸びてました。

 が、しかし。

 医師は「3cm超えてないとね~外せないね~」などと言い出す始末。


 は? 話が違うけど? 何?


 と、思っているうちにあっさり診察終了。あっという間に病室に戻されました。それからはがっかり過ぎて一気にやる気をなくしていました。

 わたしが医師の言葉を良いように取りすぎていたのかもしれませんけど、まさしく意気消沈。大部屋だったので、同室の方に励まされるくらい落ち込みました。

 悪いことは続くもので、その週の後半でまたまた筋腫が痛くなる始末。早めに手を打たないと、また激痛になるかもしれない。カロナールをもらいました。

 痛みは数日で治まりましたが、そのせいかしばらくお腹が張りました。横になっていても苦しいくらいで、その週の診察時は頚管が2.6cm。お腹はパツンパツンに張ってました。主治医も「これでは外せないね~」と。

 自分でもさすがにそれは無理だろうなと思いました。筋腫はなかなか厄介です。


 そんな頃、点滴の副作用が更に問題になってきていました。血管です。

 血管がボロボロになると、針がきちんと血管に入っていても薬剤が漏れてしまいます。これが漏れるとまた痛い。

 針を入れてくれる助産師さんもだいぶ苦戦して、2、3人交代しながらやっと使える血管が見つかる、という具合。

 しかも、ボロボロになる前に既に一度点滴が漏れて腕がパンパンになったことがあるので、余計に使える場所が限られるようでした。

 因みに、点滴漏れでパンパンになると普通は痛いそうですが、何故かわたしは痛くなかった。しかも夜中寝ている時だったので、余計に気付けなかったもんですから怖いですね。

 明け方にふと目が覚めて、手の感覚が変だな、動かしにくいな、と思ったら腕が普段の二倍くらい太くなってました。驚きでバッチリ目が覚めて、慌ててナースコール。直ぐに針を刺し直し、冷やしてもらいました。

 腫れはその日のうちに治りましたが、しばらく赤い湿疹のような斑尾は数日残りました。薬疹だったんでしょうか。ちょっと痒かった。

 この時右手だったので特に何も着けてませんでしたが、もしも左手だったら指輪をしてました。指輪なんて入らないくらい腫れてましたから、これすごく怖い。たぶん痛いだろうから、もっと早くも気づいてたのか? いや、でもなあ。指も指輪も大事です。それ以降、左手に点滴する時は指輪を外すことにしました。(と、当時は思っていたけれど、妊娠中は浮腫が酷くなったりすることもあるから指輪は外してた方がいいです。2人目の時の病院でも、切迫で入院した時に真っ先に言われました)

 張り止めの薬くらいならそのうち吸収して直ぐに元通りになりますが、薬剤によったら危険なものもあるのだとか。点滴がトラウマになりそうです。

 

 前回も書いた通り、点滴し始めてから軽いつわりが復活していましたが、この頃遂に吐きました。

 夕食が鶏肉で、食べた瞬間からおかしかった。慌てて点滴の機械のコンセントを抜いて、出来る限りの早足でトイレへ直行。間に合ってよかった。

 翌朝、担当医に報告すると急遽診察してもらうことになりました。「状態が良ければ点滴を外しましょう」と。

 外せない場合はマグセントに切り替えです。少し調べてみると、マグセントの方が更に副作用がきついらしい。でも、リトドリンが合わないなら仕方ないし……と、ドキドキしながら診察。

 子宮頚管は27mm。あんまり変化なし。お腹も張ってない。だったら外してみましょう、となりました。

 ルンルンで病室に戻ったのは言うまでもありません。同室の方もみんな心配してくださってました。ありがたや。


 点滴を外したら内服に変わります。ウテメリンを飲みます。これもリトドリンと似たような薬で、お腹の張り止めです。一回1錠1日3回毎食後。

 この時、産科病棟は切迫流・早産患者で溢れていたらしい。点滴していないなら、とトントン拍子に退院への運びになりました。

 先ずは婦人科の病棟へ移動。個室だったのでラッキーです。(病院側の都合なので部屋代はタダ)その後3日ほど様子を見て、異常がないので退院となりました。

 当初の予定では35週まででしたが、実際には24週くらいで退院。約1ヶ月の入院でした。ただ、あの時吐いていなかったら、その後もずっと入院していたかもしれません。


 以降2ヶ月ほどは自宅安静でした。途中、内服も二週間ほどだけ便秘薬のみの処方になったこともありますが、結局35週までウテメリンは飲み続けました。

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