第6話 通 身内に悩む

本編を読む前に 『お湯らーめん序(女) 気を使っているんだよ』をお読みいただけると、よりいっそうお楽しみいただけます。


「おう!久しぶり!変わりはないか?」

「久しぶりだな、どうした?」

「これから、お前のトコ行こうと思ってさ」

「今、運転中、お前どこにいるの?」

「N市」

「あぁ、俺もN市に向かってるんだよね」

「マジか!奇遇!待ってるわ!」

「いいけど、なんかあったのか?」

「それがよ~、俺もよ~話したいことがあんだよ」

(テンション低いな……)

「解った、着いたら電話するから」

「待ってるわ!」


「ねぇ彼?彼?」

助手席の彼女がはしゃぐ。

電話中のときから、「出たい!代わりたい!」と助手席で大はしゃぎなのだ。

面識ないのだが……。

「これから会うの?」

「うん、キミを降ろしてからね、なんかあったみたいだから」

「一緒に行く!」

「無理でしょ」

「行きたいよ~、見たいよ~、写メ撮って後で送って♪ね」


彼女を降ろして通のもとへ。

指定された店へ行く、店内に通の姿はない。

電話すると、今から入口に行くとのことだ、店内の方を見ていると

まさかの駐車場からご登場であった……。


「場所変えるか?なにがあった?」

「おう」


ショッピングセンターのフードコートへ移動する。

ス〇バに行こうとしたが(彼女の影響)

「ス〇バ知ってる?豆が悪いんだって遺伝子組み換えの豆使ってるんだ」

「聞いたことないけど……それに俺コーヒー飲まないから関係ない」

「俺は飲むんだよ、コーヒー」

どこで飲むのかな~と思ったら、マ〇クであった。

(こっちのほうが……)


「で?なにがあった?」

「俺の弟……最後に会った時さうまくいってないって話したじゃん」

「そうだね、お前の嫁と弟の嫁が仲悪いとかだっけ」

「あぁ、それもそうなんだけど、色々あってさ、先月離婚した、3月に……」

「3月は、先々月だけどな」

「まいったわ」

「まぁいいじゃん、今はバツイチも珍しくないよ、子供いたんだっけ?」

「上が高校生だな」

「じゃあいいんじゃないの?養育費もそんな長期間じゃないでしょ」

「家のローンとか一人で払うんだぜ」

「まぁそれはしょうがない」

離婚の理由は伏せさせていただく。聞いたのだが……身内びいきもありそうだし。


「それが話したいことか?」

「あぁまぁそうなんだけど、弟もだいぶキテるんだよね」

「落ち込んでるってこと?」

「うん、それで色々誘ってるんだ」

「へぇ、いいことじゃない」

「すぐケンカになるんだよね」

「うん、そういう時期なんじゃない色々あっただろうから」

「短気なんだ、弟、だから嫁も子供も出てったみたいな」

(うん、血筋かな?)

「話、聞いてもらいたくてさ」

「うん、まぁお前になんかあったかと思ったよ、お前が何もないならいい、良かった」

「俺もさ、かみさん派遣に行ってんだ、3日で辞めちゃってさ、イジメられるんだって」

「あぁ~、まぁあるよね~そういう職場も……子供いくつになった?」

「おう、高校生になったよ」

「そうか、これから金も掛かるな」

「貯金ねぇんだ」

「まぁ大変だよな~お前だけじゃないよ、みんな大変なんだよ」

「ほんと、最近色々あってさ~参ってんだ」

「うん、よし、同僚も呼ぼう!今日は遊ぼう!昔みたいに」

「おう!アイツ来るかな?」

「lineしてみるから待ってて……来るってさ」

「そうか、とりあえず落ち着きたいなカラオケでも行くか?」


合流してカラオケボックス……何年振りだろ?

ロシアンたこ焼き……最後の1個までカラシが出ませんでした。

「これじゃない気がするんだよな?」

と通が首を傾げる。

(最後の1個だもん、100%ソレだよ)

「俺、同僚がさっき食ったのだと思う」

(普通い食ってたぞ)

「大丈夫じゃね!カハッ!」

(まぁそうなるよね)


私が歌っていると、彼が同僚に子供の将来を語っている。

「で、商業にしたんだ、桜雪が商業じゃん、計算高いじゃん、それで大学行かせて10年くらい普通に務めてさ、農業継がせたいわけ」

「で、金あるのか?」

「貯金0……厳しいな……」

歌いながら聞いている。

(子供に農業継がせる前に、お前が先に継いでなきゃダメじゃねぇか?)

どうやら、親に食わせてもらった後は、子供に食わせてもらう気らしい。

その後、通と同僚は、おっぱいパブの話で盛り上がっていた。

(貯金0って……おっぱいパブ行ってる場合じゃねぇだろ……)

身内もさぞ、お悩みであろうと推測されるのである。



『お湯ラーメン序(女) 合流したい』に続く。

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