第5話 通 サムライを語る

「サムライって日本人の生き方の指針だよね」

「ん?武士道ってこと?」

「そういうのも含めて」

「騎士道とはちょっと違うからね、日本人らしい考え方かもね」


私がナニをどのくらい知っているか?大して知らないのである。


漠然と騎士道というと『ドンキホーテ』であり、武士道といえば『忠臣蔵』その程度である。

まぁ、御婦人や弱者を助けるために頑張るのが騎士。

主君に忠誠を誓い嫌でも仕えるのが武士。

ざっくりとこんな感じだ。

もう少し言うなら、

盾で見方を守るのが騎士、盾を持たず戦うのが武士。

回復魔法覚えるのが騎士、攻撃魔法覚えるのが武士。


「でね、やっぱり日本男子ってサムライの血が入ってるんだよDNAに」

(お前……弥生時代から農耕民族って話どうした?)

「俺にも受け継がれてるんだって思うわけ」

(お前……農家のエリート……自称だが)

「やっぱ、息子ガキにもね、そういう教育をしたいんだ」

「どういう教育?」

「だから、武士のようにさ~」

「いや、だから、具体的に武士のようにさ~の武士の部分」

「……こう……高楊枝たかようじ的な……道の真ん中を堂々と歩くみたいな……」

(楊枝ようじ咥えて道の真ん中堂々と歩く……)

「ヤクザじゃねぇか!」

「違うよバカ!真逆だろ」

「ちょっと、子供にどうなってほしいか解らない」

「だから、刀差して弱いモノを守るために抜くような、普段はおとなしくてイザってときにはババッと斬る的な」

(おとなしいヤツが突然斬りかかる……)

「典型的な現代っ子だな!」

「違うよ!解れよ!アレだよ竜馬とかだよ」

「竜馬は武士じゃねぇよ、維新志士だよ、1歩間違えばテロリストだよ」

「竜馬をテロリスト扱いはお前だけだからな、日本で!」

「武士ってさ~明治より前の身分じゃない」

「そうじゃないの!精神の話なの!」

「いや、サラリーマンじゃん、武士って」

「なんでサラリーマンなんだよ!」

「社長から給料貰って、頑張る的な感じは武士もサラリーマンも変わらない」

「心が違うでしょ!武士、転職しないよ!」

「するよ!主君変えるよ、クビにもなるし、出張もあるよ」

「だから、そういう武士じゃないの!立派なサムライなの!」

「立派なサムライって誰だよ!」

「……パッとでないけど……」

「だろ!なっ!お前の言う武士道ってさ、そんなもんなんだよ、フワッとしてんだよ話がさ、中身がスカスカなんだよ」

「あっ!上杉謙信とか!」

「女だって説もあるよな!謙信って!」

「もういいよ……」


通には、武士を語る前に、教育論を語る前に、浪人フリーターから武士サラリーマンへジョブチェンジしてほしいものである。

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