お湯ラーメン2(通)

桜雪

第1話 通 excelを学ぶ

つうが会社をクビになった。

失業手当等の説明をしていたのだが、つうの再就職に不安がよぎる。

「お前って、運転免許以外の資格あるの?」

「無いよ」

「この機会にさ、パソコンの資格でも取ってみたら?」

「難しいよ、無理だよ」

「俺も、0から3ヶ月で5つ取ったんだよ、1つくらい取れるだろ?」

「それに、3ヶ月職業訓練行けば、割増しで失業手当でるし」

「そうなの?」

「ああ、まぁ資格は強制じゃないし、申し込めよ」

「そうしてみようかな?」


つうは、職業訓練に通いだした。

「講師がさ、俺の質問に答えられないんだ、あいつらバカだな」

「そうか!飲み込み早いんじゃないか、良かったな」

「おう」

通いだして1週間目の彼である。

しかし2週間目で挫折した。

残念ながら授業には付いていけなくなったようだ。

ある意味、私にも責任がある。

「お前は出来る!やれば出来る!」

そう言ったのは私だ。

「資格だけでも取れ」

「もう無理だ」

「実技試験だから大丈夫だ、操作できれば取れる」

「ホントか?」

つうは試験に挑戦したのだ。

「どうだった?」

「ダメだった」

「まぁ、次もあるよ」

「無理……」

「そんなに難しいもんでもないだろ結果見せてみろ、何が出来ないか解るからさ、苦手を克服すればいいんだから」

「いや、いい」

「いいから見せろ、教えてやるから」

強引に彼から、結果を奪い取った。

1000点満点中120点……。

合格ライン850点……遠いな~。

セルに罫線引くだけが、なぜ出来ない……。

「お前さ、コレ線引くだけじゃん。出来るよね。」

「出来るよ!」

「なんで出来てねんだよ!」

「……ない」

ボソボソと小声で呟く。

「なんだ?」

「読めなかった……」

「なにが?」

「漢字が読めなかった、だから問題文が理解できなくて、なにをやればいいか解らなかった、次へ、次へ、カチカチしたら終了になった……」

「…………そうか」

実技試験でも、問題文は自分で読まないとな。

漢字が読めないとはね……恐れ入った。


3か月後、彼は修了証だけは貰えた。

15人いたクラス、受講最終日に飲み会があったそうだが、

つうだけは呼ばれなかったそうだ。

初日から、俺はお前らとレベルが違う系の発言がガツンと効いたそうだ。

アダルトサイトのネットサーフィンしか出来ないのに。

その後は生徒はもちろん、先生からも完全に無視されていたそうだ。

つう曰く

「とにかく辛かった」

つうの感想である。

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