第2話 通 ドリフトをする

冬の夜。

降り積もった雪が道路を白く塗り替える。

細い商店街の道を走る車。

つうの車である。

助手席の私は、退屈していた。

「なぁ、雪道って運転面倒くさいよね」

「そうか?俺くらいになると苦にならないけどね」

「そう?お前先月、車潰したじゃん事故で」

「あぁ居眠りしたんだ」

「うん、俺、乗ってなくて良かったよ」

「桜雪、お前運が良かったな」

「そういう問題か?それに運がいいとは思わない」

「普段乗ってるのに、そのときに限って乗ってなかったんだぜ、ラッキーだろ」

「俺が乗ってれば居眠りしなかったんじゃないのか?」

「……そうだよ!お前が乗ってないのが悪いんだよ!」

なんかキレだした。

「まぁ、お前は運が無いってことだろ」

「そうだ、俺は運が無かったんだ、腕はいいのに」

「何の腕?」

「運転技術だよ!」

「そうか~?」

「見てろよ!」

つうは急ハンドルを切った、

「おほほほほほほ、見たか!この速度でドリフト!」

車体が横滑りする。

雪道だ……当然、必要以上に滑る、ツーッって具合に。

滑る、滑る!そしてガードレールに突っ込んで止まる。

(ほら、事故った)

「…………」

車から降りて、車体を眺めるつう

なんか真っ直ぐ走りそうにないな~と思ったので

「俺、アパート近いから歩くわ、じゃあな」

「おう……」

1年で車2台潰す、懲りないヤツだな。

こんな寒い冬の夜に歩かされる私、やはり運が良いわけがない。

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