第14話 通 息子の遊びに悩む

「そういうわけで、今、息子ガキ達の間でカードゲームが流行ってるの」

「へぇ~興味ないね」

「で、バトルするわけよ」

「へぇ~、こんなものが何万もするのか」

「そうなんだ!とても買えねぇ」

「そうだね、高いよね、バカみたい」

「バカらしいけど、お前だってチェスの駒ひとつに8万出しただろ」

「紙じゃないから!芸術的な価値だから」

「似たようなもんだろ?」

「違うだろ」


つうは、なんだかよく解らないカードを真剣に眺めている。

いわゆるレアカードと云われるカードはガラスケースの中でキラキラ光っている。

(高そうではある……そして強そうでもある)

少なくても、つうが見ているコーナーのカードでは絶対勝てないであろうことは、私にも理解できる。


「いや~、息子ガキがさ~、カード取られてばっかりなんだよ」

「賭けてんだ」

「学校では禁止されてんだけどな、でも賭けてんだゎ」

「面白みがないもんな~、賭けないと」

「面白くねぇよ、賭け事なんてよ」

「お前、パチンコ・競馬、大好きじゃん」

「…………」


「とにかく、金持ちの息子はさ~強いカード持ってんだ」

「格差社会って子供の頃からあるよな、絶対」

「だから、カードの補充に来てるわけ」

「でもさ、弱いカードでも組み合わせとかでひっくり返るんだろ?」

「あぁ、そういうのもあるみたい」

「それで、カード探してんだ、お前も詳しいんじゃん」

「いや、何もしらねぇ」

「えっ」

「だから、こんなもん興味ねぇし、なんもシラネェ」

「お前、何基準で吟味してんの?」

「見た感じ」


ルール知らねぇヤツが、選んだって無駄金じゃないのだろうか。

つうに、そのことを言うと

「だから、お前を連れてきたんでしょ!」

「何言ってんの?」

「あのなぁ、子供とくればいいだろ?」

「負けてばっかのヤツに選ばせても無駄だろ」

(いつになく正論だが……)

「だから、お前がルールを覚えて、作戦を練るんだ」

(なぜ……俺が……)

「そうすれば、強いカードがタダでバンバン手に入る!」

「俺、まったく興味ないけど」

「予算は3000円だ、選べ!」

「話を聴け!俺は興味が無い!」

「あそこのテーブルでカードゲームやってんだ、まずは慣れろ!」

(嫌だ、小学生の群れのなかに、大きなお友達になるのは嫌だ)

「断る」

「得意だろ!こういうズルい感じのゲームは得意だろ!」

「断る」

「なんだよ~、じゃあいいよ~、自分で選ぶよ!」


つうは適当にカードを選んでいた。

「これ安かったから、5枚買っちゃった」

よく解らないが、弱そうなカード……同じイラストのカードを5枚……。

絶対、間違っている。

「なんで、このカード選んだ」

「なんか、いっぱいあった」

「一番、要らないから、たくさん売りに出されるんじゃないかな」

「えっ?」

「星の数がレア度なんだろ、俺だったら、3000円で1枚のカード買って、それを強化できる組み合わせを考えるが」

「今さらなんだよ!だから選べって言ったじゃん」

「うん、なんか、ごめん」

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