武江成緒

怪談のようでいて、この話は怪談ではない。他愛ない子供の悪戯の話にすぎないのだから。 怪談のようでいて、この話は怪談ではない。主人公は「怪談の語り手」では済まなくなったのだから。 お…続きを読む

夏から秋、そして冬。その中で笑いながら死を語る彼女。
長編の簡潔なダイジェストのような語り口が、鮮烈なイメージと余韻を醸します。

短いながらありありと描かれる、捻じまがり、呪詛に満ちた精神の在り方。その顛末をご覧あれ。

ありふれた出だしから始まって、読み進むたびにシュールさを増してゆく展開。それでいて、最後のオチもさらりと受け入れられてしまう緻密な書き方は、ぜひともお確かめください。

深夜の奇妙な小さな事件。それだけで物語になりそうな一幕の裏にひっそり張られた伏線が、終わりに綺麗に花開きます。
777の字数でこの完成度、お見事です。

パターンがわかっているのは対処できて楽だけど、対処するのはそれはそれで悩ましい。
そんなレアな幸運と不幸をもつ主人公の明日(の数)は？　7に見舞われた日か、否か、どっちだ！？

端的な描写で過不足なく描かれるノスタルジックで鮮やかな縁日の光景。 中盤からラストへ至るまでの道のりもまた、美しく、懐かしく、切ない。 縁日の夜の開けた朝までの道を、どうかご自分の…続きを読む

発想と勢いと規模、怒涛のごとき展開はまさに狂気の祭典。
「深夜の散歩で起きた出来事」というお題から、どうやったらこんな話を思いつけるのだろうか？

掌編だからこそ。笑いと恐怖とが混然となったこの味は……そう、筋肉のなかで絡みあい混じりあう赤筋と白筋のごとくに……。

転校してきたクラスで排斥される少女。 盲目の若き霊能者と、その事務所に勤める青年。 不審な形で家族を失った女性。 視点がつぎつぎと移り変わりながら、そのすべてが巧みに、どろどろと絡…続きを読む

両者は人の精神と、業とで結びついた、表裏一体の恐怖なのだから。
そんな恐怖を目の当たりにさせてくれる、4500字のメビウスの輪。