庵字

　凶悪で不可解な犯罪を、名探偵が快刀乱麻を断つが如く解決する―― 　本作『「永倉采奈を殺した犯人を暴露します」』は、そういったオーソドックスなスタイルのミステリではありません。本作…続きを読む

　小説の「ネタ」というのは貴重なものです。特にミステリとなると、その重要性は俄然増し、ネタ、すなわち「トリック」というものは、ひとつ一つが作者にとっては「あちこち掘り返してようやく…続きを読む

「全知全能の神様」対人間！ 　この無謀すぎる勝負の果てに待つものは、果たして何か？ 　あなたの目で見届けて下さい。 　読み終えると恐らく、非常に頭がもやもやすると思いますが（笑）、…続きを読む

制限時間内にもらった金を使い切る？
不可解な犯行（？）手段が意外な結末に直結する、ホワイダニットの傑作です。

　自分以外の、担任も含めたクラスメイト全員が爆殺されるという衝撃的な事件が主人公を襲います。 　ミステリのある仕掛けを上手く使って、物語に余韻を残しています。 　あまりにも残酷で悲…続きを読む

すべての謎が解かれたとき、あなたの胸中に飛来する本作のテーマは、抱腹絶倒のコメディミステリか？　はたまた痛烈なアンチミステリか？
読むものの「ミステリ指数」が問われる問題作。

「切断ものミステリ」と聞いて、あなたならどんなものを思い浮かべますか？　バラバラ殺人？　首切りトリック？　本作も「切断ものミステリ」のひとつです。 　読みやすく美しい文体ですが、そ…続きを読む

短い中に本格要素が詰まった快作です。 唯一の容疑者は、被害者の死亡時刻、何百キロも離れた場所にいた。この鉄壁すぎるアリバイを崩すために必要なものは、何と〈タイムマシン〉？ ハウダ…続きを読む

本格ミステリィ（作者の拘りに倣ってこう表記します）は逆行する物語だとよく言われます。それはつまり、事件が起き、手掛かりを得て推理して、時間を遡って、事件に至るまでの経緯を理解してい…続きを読む

　左腕を肘の位置で切断された死体が発見される。その後発見された死体は、またしても左腕が切断されていたが、その切断位置は肩口からだった。どちらも切断された腕は発見されていない。同一犯…続きを読む

タイトルや、冒頭の軽快な文体から、ほのぼの系日常の謎ミステリを想像していたが、さにあらず。こちらの予想の上行く本格派だった。 手掛りもフェアに提示され、伏線もばっちりと嵌まる。(覆…続きを読む

　ミステリには猫がよく似合う。本レビュータイトルにも出させて貰ったシリーズの他に、有栖川有栖のレギュラー探偵火村英生も猫好きだし、エラリー・クイーンの名作「九尾の猫」 　目を閉じて…続きを読む

　嵐で閉じ込められた孤島で起こる殺人事件に、個性的な探偵たちがその推理をぶつけ合う。 　閉ざされた孤島。完全な密室。見え隠れする人外異形の影。 　本格ミステリの「王道」をしっかり…続きを読む

　私は、いわゆる「日常の謎」系の話を読むのは得意としないのだが、本作は主人公の境遇にシンパシーを感じたようなこともあり、また、切れ味柔らかい文体が自然に頭に入ってきて、すんなりと読…続きを読む

「殺したのは私です」 「いや、俺だ」 「いやいや、私……」 　殺人事件の犯人として三人の人物が自首をしてくる。そこで、前の二人が、「どうぞどうぞ」とはならないのだが。 　倒叙もの…続きを読む

　本格ミステリの謎の要素は大きく三つに分けられる。 　フーダニット（誰がやったのか）、ハウダニット（どうやったのか）、そして、ホワイダニット（なぜそうしたのか） 　この中でもっとも…続きを読む