腕喰い

ラブテスターさんの描く作品には独特の生々しさー鼻腔に生温かい湿気がまとわりつくような気持ち悪さや生々しさーがある。文章だけでこういった五感を覚えさせるというのは実は中々できることではなく、ある種の筆力がないと描けないと思う。またそれに加えて今回はミステリーで描く事で気まずさ、やり切れなさにも踏み込んでおり、生々しさとのテイストにうまく絡み合っているように感じた。

やり切れなさに関して作者なら更に美味く料理できるような予感がしたが、これは大した問題ではない。それよりも作者の今後の作品を追うことでどう変わっていくのか楽しみに見て行きたいと思った。ごちそうさまでした。

左手のない遺体が見つかる、連続殺人事件。それを追う刑事の話。

とてもレベルの高い短編ミステリー（ホラー？）です。
書籍で発売しているレベルにあると思います。

なんでこんなに評価されていないのか？（私のレビューする前で★１４）　不思議。これは、もっと読まれてしかるべきクオリティーの作品です。

　左腕を肘の位置で切断された死体が発見される。その後発見された死体は、またしても左腕が切断されていたが、その切断位置は肩口からだった。どちらも切断された腕は発見されていない。同一犯による犯行と思われるが、腕の切断位置が移動しているのはなぜか？　そこには、我々常人には測り知ることの出来ない、犯人の妖しく狂った論理が展開される。短く、鋭く決まったワイダニットものだ。

警察組織というものはいつだって後手にまわり、いつだって手遅れなのである。
しかしそれでも、犯人を捕まえる為に彼らは動き続ける。

ラブテスターさんの特徴の一つであるグロテスクさが前面に押し出された小説。
また短編ながらも綺麗にまとまって読後感が良い作品です。