鷹羽 玖洋

手紙に始まる本文。丁寧な導入で、するりと物語世界へ引き込んでくれます。 強風ふきすさぶ過酷な地を、獣の背に揺られて旅する一座。夜になれば焚火を囲み、どこかオリエンタルな楽器を奏で、…続きを読む

『灰の怪』という、あらゆる存在を魂のひとかけすら残さず滅ぼしてしまう大災害。原因となった『宝石科学』、そして関連の作戦を調べるため、危険な世界へ向かった一人の〈スクラップ人形〉がい…続きを読む

ケルトの香り漂うファンタジーはお好き？　はい、読者さま一名ご案内！ 英国の古い妖精譚を彷彿させる世界観。鳥の背に乗り小人が旅する情景に名作『ニルスのふしぎな旅』を思い出したのは、主…続きを読む

冒頭からして政治的な硬めのお話かと思っていたら！　良い意味で裏切られました。 素直な語り口の少女の日記と、注釈として差し挟まれる論文調のギャップが、なんだかちょっぴり滑稽です。まさ…続きを読む

他の方のレビュー『いつか何処かで聞いたような、知らない世界』に、まさしく！！と膝を打ちました。 抄訳ということで文章は淡々と読みやすく、空や風の世界の透明感を伝えてきます。 主眼と…続きを読む

大図書館に禁書世界、存在喪失者にデンショバト。 古風さとＳＣＰとが混ざったような不思議な雰囲気を味わう間もなく、読者は主人公と共に事件に巻き込まれます。素直な主人公をハラハラ見守り…続きを読む

オッ、純文学ふうのタイトル……ふむふむ、有能な職場の上司のご実家に招待されて、休日の過ごし方を学びにゆくのか。むしろデートかな？ と思って読み進めたら、扉をくぐった瞬間にシュールな…続きを読む

作者様のキャッチコピーの強さ。 帝国にとって複雑な背景を持つ若者二人と、どことなく苦労性な気配を持つお役人による沙漠の調査行。学術目的といって、三者どころかより大きなものの思惑を秘…続きを読む

まず出だしの二人称でオヤと思い、ゲル状ご両親の悲嘆にＳＦ的パンチを喰らってわくわくします。本文は、どうやら失踪していた調査員の行方を知らせる便りのよう。純朴そうな語り口調、遭難中の…続きを読む

　同世界の『ロ族（ろぞく）界渡による～』に登場した二人組による、また別の調査の物語。報告書形式だったロ族の作品とは違い、今回は通常の小説として彼らの道行きを堪能させて頂きました。 …続きを読む

　青く澄んだ水を湛える湖、その岸辺に集落を構える白と青の衣の人々。 〈界渡り〉や精霊へ捧げる歌といった、不思議な習俗を持つ部族との接触に成功した調査員が、その興味深い文化を報告書…続きを読む

”《狐の丘》の毒ニンジン”こと、レイレ氏は学者である。塩の荒野へ”歌う角”なる獣の調査にやってきた。 拠点の神殿では、無関心無感動を旨とする神官たちが心静かに過ごしていたが、レイレ…続きを読む

なにしろ独自の言語まであるのです。 造語が多い文章には面食らうかもしれない。私たちの世界とは常識を異にする場所の話は、飲みこみづらいかもしれない。 けれどもぜひ最後まで読んでみてほ…続きを読む

『弔い』のタイトルのとおり、これはある異世界の、葬儀の文化にまつわるお話です。 舞台は、果てまで広がる氷原と白骨めいた木立、凍てつくような暗い夜。そこで一人の旅人が、悲しみを抱えた…続きを読む

そもそも魔獣や不思議生物の博物学が大好きなのに、しょっぱな『魔帯研』などと厨２心をくすぐるワードまで出てきてもう全文読むしかない。 内容は炎めいた花や性質を持つ、不思議な植物の生態…続きを読む

　ある学術機関の調査報告書から始まる本文。 　目的は過去に大惨事の起こった中心、大地に穿たれた”大穴”を調べることにあったが、そこで美貌の旅人は現地の青年と出会い、運命が回りだす。…続きを読む