我々は、一通の磯の香りがする手紙を受け取るところから、物語に引き込まれる。手紙の差出人は、もう既に死亡したと思われていた男性からだった。そしてその手紙には、彼の体験談がメモ書きされていた。
星の九割が海で構成され、龍と共に生きるセムタムと呼ばれる人々。青年は彼らのやり取りをメモ書きしていた。まず青年は船に乗ってセムタムの男性に海に案内されるが、男性は「何か」に殺されてしまう。そして船に一人残された男性は、祈りが通じたのか陸地にたどり着く。そこには一人のセムタムの女性がいた。女性のところには何人かの訪問者がいたが、彼らは去っていく。
そして女性もまた——。
文化人類学的な知に長けた作者様のアルマナイマ博物誌、待望の新作。
果たして、青年はセムタムの人々の何を見たのか?
是非、御一読下さい。