「温度 純文学」を含む小説

話す、話す、話す。 一定のリズムで心地よく続く2人の会話。 彼らだけの空気感。彼らだけの温度感。 僕たちは間に割って入れないけど、少し遠くで聞いていたい。 そんな2人の人生のお話

女友達の智香にピンチだと呼ばれた龍は、智香から話を聞く。

とても短い掌編を練習用に書きました。お読みいただければ幸いです。

※カクヨム2022Web小説短編特別賞受賞、ご当地短編小説入選 知床羅臼の美しい自然を背景に、惹かれ合う男女の一場面を描きました。 文章のリズム感に注力しました。一気に読んでい…

幸せじゃないし、 優しくない、 延命しているだけの温度が、 私の最適温度。

寒空の下、真っ赤な両手で絵を描く少女をみつけた。 「どうしてこんなところで絵なんて描いてるの」 六年前。車の温度計が示すはマイナス２℃。北風が吹き下ろす祖父母の住む村。 田舎と…

白露のころ。

十六歳の誕生日の前日の午後十一時。父から告げられたのは「実は櫂はお父さんの子ではないんだ。」という衝撃的な事実だった。しかし、櫂はどことなくその事実を感じ取っていた。暖かい家族の…

【僕は世界が滅ぶ瞬間を真剣に想像してみる。空は何色だろうか。風はどのくらい吹いているだろうか。温度は。においは。音は。誰かの声は聞こえるだろうか。もし僕がそのときカメラを持ってい…

世界最高齢の水口桃花は現役の絵描き。年齢のために来たテレビが放映されると、訪ねて来る人がちらほら、しかし桃花は取り合わない。そこに年齢ではなく彼女の絵に感銘を受けたと言う青年が現…

とあるバーから物語は始まります。瑞々しく素肌に触れるような文章になるよう目指しています。やや硬質な文章かもしれません。ショパンなどの音楽を聞きながら書いています。更新は遅くなるか…

少女の世界には、温度が存在しなかった。 生まれつき温度を感じる能力が無い少女は、身を切るような寒さも、母に抱かれる温もりも知らず、何度となく命の危機に瀕してきた。 ふとした拍子に…

明治三五年、八月。時生は亡き姉の婚約者・春日井の下で日々勉学に励んでいる。互いを好ましく思っている彼らだが、時生はいつしか「春日井は自分のことを姉の代わりとして見ているのではない…