「窓」を含む小説

　これは神が創り出した箱庭と魔人の物語。 　魂に瘴気を宿した少年は、窓のない部屋に監禁されながら育てられていた。彼は硬い黒パンを水で流し込み、部屋の外からかすかに聞こえる音に耳を…

●あらすじ 　起きると窓ひとつない真っ白な部屋の中にいたムウは、記憶を失った状態で目を覚ます。 　真っ白な部屋のある建物から出ると、目の前に広がるのは何も無い緑の草原と見たこと…

第２回短歌・俳句コンテストの一句部門で、最終選考に残った句「窓は童貞聖マリア無原罪の御孕りの祝日色の朝」を、三十句の物語にしてみました。 俳句＋エピーソードで、一話当たり２百時…

　俺たちは遭遇してしまった。『雪女』が人を殺してしまう場面に。 　「このことを誰にも言わないで。でないと、あなたたちの命はない」 　そう命じられ、ひたすら沈黙するつもりでいた。…

小学校三年生のとき「狐の窓」を知って、周りのみんなを見てまわったんですよ。妖怪がいるかも、とね。 でもまあ、いないんですなこれが。親も、先生も、クラスメイトも、誰を見ても人間。だ…

"ガワ"……それは、VTuberが世の中に自分の声を届けるための仮の姿。 まさに化けの皮とも言えるような、電脳世界の自分の姿。 大手VTuber事務所に所属していた中村(な…

「行動することは常に勇気でありましょうか、控えめにしても私の行動は昼夜を問わず勇気が必要でありました。〝改革〟とは魔王のごとき〝壁〟であり、避けられない〝試練〟だったのです。徐々…

　読書をしていたらなんとなく肌寒く感じたのでしおりを挟んで閉じる。 　時計を見るともうすぐ二十三時時だ。 　窓へ近づきカーテンを開けると雪が降っていた。

　１９６９年１月１３日。村橋家の初めての子どもが生を受けた日は、窓に小雪がちらついていた。駆けつけた夫と共に、私たちは子どもの名前を考える。 『一蓮托生～蓮華の下で結ばれて～』の…

葛城愛莉（かつらぎあいり）は親の都合で高校入学後たったの一学期で転校することとなった。 しかしそんな愛莉に僕は告白をした。 たとえ彼女が遠くへ行こうとも、僕は彼女が好きだ。 だか…

集英社みらい文庫大賞第一次選考通過作品。中学２年生の卯ノ花未兎はある日、テレビで大好きなアイドルグループ『エクレール』のリーダー、美谷島有輝を眺めて、キュンと胸が狭まるのを感じた…

窓の外には雨が降っていた。テーブルの上には空になったマグカップ。 あと、もう少しだけ。 まだ、もう少しだけ。 このひとが行ってしまうなら、雨なんて一生止まなければいいと願いながら…

鬼に支配された伝承の残る鬼囲集落で、成松紫生(なりまつ　しお)は幼い頃から鬼の末裔だとされる田染(たしぶ)一族の若い男と窓越しの僅かな邂逅を繰り返していた。目が合う度にただじっと…

山間に抱かれた街、雅都。 その美しい街並みは、竹林の緑に包まれ、風が笹の葉を揺らすたびに静けさの調べが響き渡る。 町屋の格子窓から漏れる灯火の柔らかな輝き、苔むした石畳を濡らす朝…

７月中旬を過ぎた祇園祭の夜。中学２年生の美夏は、自宅の２階の窓から外を眺めていた。そして、祭りの後片付けをする人々の中に、半袖の白いシャツに黒ズボンの制服姿で歩く青年を見つける。…

——私、大切な何かを忘れてる。 　魔法学園の優等生で、生徒会長のメアリーは、その大事な何かを思い出すため、長期休みに実家へ帰った。 　その日の夜は満月。なかなか寝付けなかった…

花屋で働く主人公の周りで相次ぐ不審死。その理由は……

あらすじ： 桜舞う春の横浜で、普通の女子高生・岸本アリナは、いつもの休日を迎えていた。スマートフォンでSNSをチェックすれば「地中海ニッポン」という不可解なトレンドが目に飛び込み…

熱が出て学校を休んだ小学校の頃の”わたし”は窓から見える工事現場と交通誘導をうつらうつらしながら眺めていた。その時の微睡ながらの空想はなぜか大人になってからも印象に残り続けた。大…