転校する彼女はあの入道雲のむこうへ、でも僕はあきらめない必ず君のもとへ行くと誓うんだ!

さいとう みさき

僕たちの熱い夏が今、始まった

葛崎愛莉かつらざきあいりさんは転校する事となった。一学期いちがっきだけだったが共に学びみんなとも沢山たくさんの思い出を作ってきたと思う。最後に葛崎、みんなに一言」


 そう言って教壇せんせいの横に立たされた彼女は少し涙目で話始める。


「この高校に入ってたったの一学期いちがっきだけでしたが楽しい思い出が沢山たくさんです。あちらへ行っても頑張ろうと思います。みんなもお元気で。今までありがとうございました」


 そう言って一礼すると女子たちの悲しむ声がした。

 もちろん男子たちからも残念がる声がする。

 彼女、葛城愛莉かつらぎあいりは転校をする。


 彼女は目が合うと、少し気まずそうに視線を外す。


 でも。



 ―― 好きです、つきあってください ――


 ―― 嬉しいけど、もうすぐ転校しちゃうんだよ ――


 ―― 構うもんか、僕は絶対君のいる新潟の大学へ行く、だから! ――



 あの時僕のその勢いに彼女は小さく首を縦に振った。


 窓の外には大きな入道雲がある。

 あの向こうに彼女が転校する新潟がある。

 


 終わりじゃない、僕たちの夏は今始まるんだ。

 


  完

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