「吠える」を含む小説

　俺の名はタイガ。 　彼女を一目見た瞬間、俺は心を奪われた。 　 　黒のメッシュが入った鮮やかな金髪に生えた虎耳に牙を模した黒の横髪、それでいながら虎の尾が生えていない。俺と同じ…

ジーコ……ジーコ……とネジを巻く音がして、オルゴールのメロディーが拡がる。曲目は「月の沙漠」　幕が開く。舞台には何もない。赤ずきんが手に四角いバスケットを持ち、ニコニコとオルゴー…

「詩は神秘でも象徴でも何でも無い。詩はただ病める魂の所有者と孤独者との寂しい慰めである。」と君は云ふ。――――萩原朔太郎「月に吠える」 　記憶ほど信用できないものはない、と思う…

「飼い犬が突然何もない所に向かって吠える事ってあるじゃん、あれ、何でか知ってる？」 　親友が出してきた何気ない話題に大学生の少女、瑞樹は不安を覚える。 　彼女の飼い犬「こむぎ…

「そのモノ漆黒の鎧を纏い、クロガネの馬に跨るものなり」 黒い革ジャンに、革パンツ、棘付き肩パッドと世紀末プロテクターをキメてバイクに乗る俺はＳ字のロザリオの導きにより異世界に転…

童貞が吠えるだけです。

「おんし、棄て子か？」 血と煙と炎に包まれた城壁都市で、金の髪、琥珀の目を持つ骨と皮だけの童を拾った。 貧相な童だったというのに、ぎょろりと睨むその瞳の強さは、生きようとする強…

　善吉は、幼い頃より超一流のスター忍びになることを夢見る甲賀忍者の卵。里の忍術教室で長年にわたり修業を積むも、痩せっぽちで気弱な彼は、留年？をくりかえす落ちこぼれであった。師匠か…

双子の妹と弟ができた。なにかと世話をしている内に、僕はある事に気が付いた。 「あれ？　僕は人間じゃない？」 長男であるシーズー犬のホップは、二人の兄弟に悪戦苦闘の日々を送る。 妹…

非異世界転生、異世界転移の作品です。 本作は『アルクレプス大陸英雄譚 破滅の魔女と古の神々』の前日譚です。 三人称で展開が遅かった反省を生かし、一人称視点で、スピーディに進めてい…

ヒエラルキーの頂点立つ女、翼から告白を受けた新堂は2人の交際を始めるもこの交際が翼と美術部の先輩、サラサとの関係を修復するためのダシに使われていることを知った彼女が取る行動とは……

長年付き合っていた貴史との関係に嫌気が差していた優子は電話越しの口論の末別れを告げる。 盆休みに里帰りした優子は実家に顔を出し、《れいちゃん》に会いに行く。 一方、突然の別れ…

‪あのペンギン達は空は飛べないとしても、自由に誰にも干渉されず、鑑賞されず、身勝手に在れる。‬ ‪あの円らな瞳の犬は、吠える事も歩く事も出来なくなったが、代わりに雨風を凌ぐ空間…

なんやかんやで異世界にやってきた主人公。 でも実際の異世界は創作のイメージと大きく違う。 もっと夢のある世界だと思っていたよ！！ ↓前回の投稿↓ 『死に標の子どもたちのプロ…

人類は新型技術であるワープホールを疑似的に作ることに成功した。 実験中に座標の設定を間違え、遥か遠く、”完成された個”である化け物を招いてしまう。 最初の侵攻で人類の約三分の一は…

あの子はライオン、悲しく吠える。

1944年 11月 某日 大陸上空 在りし日の大日本帝国陸軍中尉『楠木 幸久』は中国大陸での米軍戦闘機との大空中戦の末、命を落とした。...筈が目が覚めたのは天国でも地獄でもな…

交通事故の被害者なのに加害者がついた嘘で謝罪ナシ！治療費ナシ！当り屋扱い！！ 警察も見離され、相談した弁護士達にも次々に断られ、やっと見つかった弁護士もポンコツ。 私は目を涙のた…

近藤直道は国家公務員である。 そんな彼が配属されたのは内閣府大臣官房総務弐課。 この部署は無駄飯ぐらいと称されているが、その実、退魔を執り行う部署だった。 霊力の欠片もない彼は…

銘刀を佩いた美青年・伊吹冷泉が主人公の、青森県弘前市を舞台にした鬼退治物語シリーズです。連作ですので、興味が湧いた話数からでも気軽に読んでもらえれば嬉しいです。 第一話「月光に…