この小説の登場人物たちは皆、然したる信念もなく無責任でいい加減で、決して好人物とは言えない人々である。仕事は行き当たりばったりの自転車操業だから当然ドジばかり踏んでいる。ただ、何故か憎めない。自分にも無責任でいい加減な部分があって(僕の場合は大部分)彼らに共感するからかもしれない。作者は塞翁が馬的に彼らのピンチを救い仕事を成功させる。ドタバタとした逆転劇が小気味好い。 読者の興味を間断なく次の行、次の段落、次の話数につなぎ、一気に読ませる作者の技には平伏である。とにかく愉快で面白い。
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