第2話 鬼才監督 安野シンジ

翌週、制作発表記者会見当日。


「ユウト、見てみろいっぱい取材の人来てるで。」

「いや、シロー先輩何で来てるですか。」

「何でって、俺も関係者やんか。ユウトが福島行ってた時、コージさんとの担当してたからな。」

「本当は、ヒロセカンナちゃんに会いたいだけでしょう。」

「まあな。あれ、ヒロセカンナちゃんの横に座ってる人誰?」

「あっ、安野監督ですよ。」

「えっ、あれが。普通の兄ちゃんやん。ホントに鬼才とか言われてる監督?」

「まあ、見かけによらないんでもんですよ。」

(本当は普通のディレクターなんだけどね。)


制作記者会見は、ヒロセカンナちゃんが主演ということもあり、和気あいあいとした楽しい雰囲気で進行していった、あの時までは。。。。。。


一通り出演者がコメントを述べた後、質疑応答の時間となり、当然ヒロセカンナちゃんに質問が集中した。カンナちゃんは滞りなく答えていき、そろそろ終わりそうな雰囲気になった時、一人の記者が安野監督に質問した。


記者A:安野監督に質問ですが、ドラマの第8話で炎上したシーンについてですが、何故あのようなシーンを撮影されたのですか?


安野監督:えっ、いや、あのー、原作を忠実に再現したんですが。。。


「ユウト、あの監督大丈夫か?メチャクチャ、挙動不審やしフニャフニャやん。」シローは横にいたユウトに尋ねた。

「ま、まあ大丈夫じゃないんですか。いつもあんな感じですよ。」

(ヤバいなあ、もっと尖がったキャラ設定なのに安野監督無茶苦茶上がってるなあ。)


記者A:子猫が爆発するなんて前代未聞ですよ、残酷とは思わなかったんですか‼」


「あの記者、絶対ネコ派やなあ。」とシローはユウトに同意を求めた。


安野監督:えっ、まあ、そうです。

記者A:地上波ですよ。子供からお年寄りまでご覧になられるんですよ。影響を考えなかったんですか‼


安野監督は記者にメチャクチャ詰められていた。

何と回答するのかみんなが固唾を吞んで待っていると。テンバっ多様子で、


安野監督:ネ、ネ、ネ、ネコは死にまシェーン。ネコのことが好きだから。


・・・・・・・・・


まさか、武田鉄矢『101回目のプロポーズ』バリの回答で会場は静まり帰った。


そして、しばらくしてさざ波の様にザワザワ感が拡散していった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る