女スナイパーは派遣社員☆彡 ザ・ムービー

夕哉圭シロー

第1話 極秘会議

2月某日

東京都港区虎ノ門、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(以下SPE)会議室にて極秘会議が行われようとしていた。ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下SME)の高橋ユウト、原作者のウルトラコージことコージ、監督の安野シンジは既に席に着いていた。


しばらくするとプロデューサーの崎山隆が入って来た。


「どーも、どーも皆さんお待たせしましてすいません。チョット前の会議が

長引いちゃって、本当すいません。いやーでも反響すごいっすね!『女スナイパーは派遣社員⁉』の映画制作の告知をメディアでちょっと出しただけなんですけね。」


「あのおー、」と監督の安野シンジが恐る恐る発言した。

「どうしたの、安野ちゃん」

「メディアの告知の中で、僕のコメントが載ってたんですけど、しかも『映画で決着をつけてやるから、待ってろよ!』って、こんなの言ってないですよ!!」


「いやあー、安野ちゃん最近はね、監督もキャラが必要なんだよね。申し訳ないんだけど安野ちゃん見た目も普通だしさあ、チョット色つけちゃったんだよねえ。」


「崎山さん、僕そんな尖がったキャラじゃないですよ。しかも元々バラエティーの

再現VTRしか撮ったことが無かったのに予算がなくてテレビ放送の監督やらされて、原作通りに撮ったら炎上して。出来ないですよキャラ演じるなんて‼」


「まあまあ、その辺はちょっとづつ慣れて行けばいいから。」と崎山は適当に返した。


(そうか安野監督はペーペーだからあの原作そのまま通したんだ。そらそうだよなあ、経験ある監督だったら絶対カットしるよなあ。)と高橋ユウトは心の中で納得した。


「今日、皆さんに集まってもらったのはあのシーンをどうするかってことで相談したかったんですよねえ。コージ先生もわざわざ来てもらってるので方向性だけでも

決めたいなあみたいな感じで集まっちゃってるんですよね。コージ先生は要望みたいなのはありますか。」




*あのシーンとは、連続ドラマとしてテレビ放送された『女スナイパーは派遣社員⁉』第8話で、主人公の派遣社員三上みかんが、店長(みかんへのターゲットの斡旋及び指南役)から新兵器として渡されたフリスクサイズの起爆装置を預かりアパートに置いていたが、たまたま保護した子猫が誤飲してしまった。そして、次のターゲットであるオレオレ詐欺のリーダーが何とその子猫の飼い主で探していた。結果、みかんはターゲットに子猫を戻してあげた。翌日、みかんは店長に呼ばれ、河原で新兵器のテストをするが起爆しなかった。その同時刻、ターゲットが部屋でチュールをあげようとした時、突然子猫が爆発し、血まみれになった映像が流れた。当然、クレームが殺到しドラマは第8話で打ち切りとなった。本来ならそこで終わるところだったが幸運なことが起こった。元々、トップアイドル女優のヒロセカンナちゃんが主役をする予定だったがコロナにかかってしまい、同じ事務所の30代女優が代役となった。その後ヒロセカンナちゃんがこの役を是非とも演じたいと逆オファーして来たことと、確かに非難も多かったが『予想できないストーリー展開!』『鬼才、安野監督』等、好意的に意見もネットを賑わせていた。更に、SPEにて今期の映画制作する題材が他になく、地上波と違って制約が緩いので問題ないと決定しGoサインが出た。




「そおーですね、、、まあ方向だけでも決めていただければプロなんでその辺は何とかしますよ。」(やべー、見栄張っちゃった。)

「あっ、でも締め切りはいつまで何ですか?」


「そうですね、3日後までに何とかお願いしますね。」


「3日後ですか。おーあんまり時間無いですね。」

(出たよ、変更依頼と締め切り厳しいセット攻撃。何回目だよ。

でも慣れてきたなあ、方向性も決めてくれたら何とかなるか。)


「方向性なんですけどね、こういう感じで

行きたいんですよねえ。。。。」

崎山がつぶやいたら、他メンバー全員が

「エー、マジっすか」と一斉に反応した。


・・・・・・・


「後、皆さん来週制作発表の記者会見があるので出席お願いしますね。詳細は追ってスタッフから連絡させますから。」


「すっ、すいません、崎山プロデューサー。私も当日行っていいですか。」

高橋ユウトは、尋ねた。


「高橋ちゃんもチームだから、もちのロンでオフコースだよ。我々はONE TEAMだよ。」

(フフフ、これでヒロセカンナちゃん会えるな)高橋ユウトはほくそ笑んだ。

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