「縫う」を含む小説

遠い世界の空の上。天界の北外れの森で暮らす仕立屋と、そこを訪れるひと達のお話です。揺らせば音の鳴る林檎。花をほぐした糸で縫う衣装。幻想のような現実を紡ぐ短編です。

ブルースター、ベロペロネ、シレネ……人の波を縫うようにして歩きながら、少女は花の名前を目で追っていった。頭巾を被った売り子の女性たちが威勢よく声を張っているのも聞きながら、世の中…

「たとえば幸せが目に見えるとしたら、どんな形をしてると思う？」 いまいち暖房の効かない部室で、お湯を入れたカップ麺を前にして先輩は私に尋ねた。 先輩はこういうぽっかりと空いた時…

半世紀前の世界。昭和の時代、誘拐された少年のたどった道とは？ ぼくは俊（しゅん）。Ｙ市Ｏ区Ｍ町に住んでいる。近所の繁雄が誘拐されて、新幹線の工事現場近くで死体で発見された……。…

※　２０２１年、７月１２日をもって、本作は完結しました。ありがとうございます。 　異世界バンギアとつながってしまった日ノ本の人工島、ポート・ノゾミ。 　行き来自由な空間の裂け目…

ボードゲームの中に入り込んじゃう体質の大須瑠々（だいす・るる）は、ボードゲーム好きの角八降（かど・やつふる）と一緒に、ボドゲ部（仮）で遊ぶ。 角くんはいつも、その大きなリュックか…

和裁というのは、解くことを前提に縫うのだということを知って、こんなお話が思い浮かびました。 ちなみに和裁小手はうちにもありますが、製造業は廃業しており、二度と買うことはできないと…

　人を蝕む黒い影は、現代も夜の裏で静かに息づく。 　影を払うのは、影縫いと呼ばれる者たちだ。 　各々が専用の縫い具を手に、人知れず影を始末していく。 　そんな影縫いの一人、烏丸…

ネオンサインが煌めく街の中、雑踏の間を縫うように足を進める青年が一人。しきりに後方を確認しつつ彷徨く彼は狭く、暗い、少し異臭が漂う路地へとその身を滑り込ませた。 (訳)とある歓…

『燃えるような赤い髪』、『ハイヒール』、『池袋』、『閲覧注意』をお題にしたお話です。 制限時間：15分 モノ書きVtuberの雅王とらい(@gaogao_try)さんが配信した…

カヤはバイト仲間の佐崎君との帰り道、入り組んだ路地に入り込み、迷った末に行きついた先で、カモノハシに厄介な頼み事をされる。彼らはミソサザイと争っていて、巻き込まれたカヤは……。 …

唯一女王の服を縫う事が許される“王宮裁縫師”に憧れるレリン。だが展覧会で、作品を酷評されてしまう。実力派の青年裁縫師・ドランが協力を申し出てくれるが、両想いだったはずの騎士・フ…

『シド・ヨギュルバス』（俺）19歳、ハンマ王国出身、中等学校卒の義援剣士。命令違反が過ぎて「好きなだけ斬ってこい！」と隊長に怒られリンツ・リンドラ王国に派遣される。 『ヤーンス…

千葉県の住宅地を縫うように走る京成電鉄は、新東京国際空港開港に向けて新型特急を開発。複々線工事を進める国鉄総武線も負けじと新型車両を全国に先駆けて投入する。1970年代、千葉県の…