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- ★★★ Excellent!!!誰もが持つ『恐怖の記憶』をじわじわと浮かび上がらせて来る作品達です
「嫌いなものからお読みください」の冒頭。
(え??何それ?私が”嫌いなもの”??)
考えました。自分が嫌いなもの。
そして、苦手な所から、読み始めてみると……。
じわじわと怖い。
誰もが、”怖い”とか”苦手”とか”気持ち悪い”と感じるモノのお話が、
1話1話、盛り込まれている……。
(これ、全部当てはまる~)
となりました。
読みつつ、何故自分がコレが苦手なのかを考察したら、
甦る、記憶の奥に仕舞い込んで忘れていた数々の出来事が、出るわ出るわ。
思いがけない体験をさせて頂きました。
こんな作品を、世に送り出せて、すごいな~と、心から思いました。
すごい作家さんだと思います!!
こ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あなたの怖いものもきっと見つかるはず……
周りの人には平気そうに見えることでも、高いところがダメだったり、尖ったものが苦手だったり、犬が怖かったりする人もいるものです。ちなみに私は理髪店で髪を切るときに、耳の近くで鋏をジャキジャキされる音が苦手です。
本作はそんな特定のものに恐怖してしまう人たちの物語を集めた短編集。「出血」や「閉所」という恐怖症の代表的なものから、「芋虫」や「ゴキブリ」といったわかりやすい嫌われものに、「駅」や「美人」といったあまりピンと来ないようなものまで、様々なものに関する恐怖が描かれます。
各短編の登場人物の性別や年齢、時代背景などは全てバラバラで、共通しているのは、何かを恐れている人たちが出るとい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!他人の恐怖は蜜の味? でもその蜜、毒になるかもしれませんよ……
「まんじゅうこわい」のお話ではありませんが、誰にでも怖いものがあります。
何かきっかけがあって怖くなったというものもあれば、わけもなく怖いというものもある。きっかけがあったとしてもそれを忘れてしまっているということもあるかもしれません。
本作はそんな、誰もがひとつは持っている「怖いもの」をテーマにした短編集。
まず驚かされるのは、その「怖いもの」の多彩さです。
「出血」や「ゴキブリ」といった定番のものから「駅」や「ラーメン」といった変わり種まで……「自分もこれが怖い!」と共感したり、「どうしてこれが怖いんだ?」と首を傾げたりしながら読んでいるうちに、物語に引きずりこまれていきます。「引きこま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!第4話「出血」が私の恐怖症に刺さりました。ゾワゾワで体がくねりました。
私はホラーが大好きです。小説、映画、怪談…数千作は脳内にインプットしてきたと思います。そんな自分は、相当なことがない限り背筋がゾクゾクすることはないだろう。そう思っていました…でも違ったんです。どれだけホラーに触れようとも、「恐怖症」は治らない。心の奥底に眠る恐怖症を刺激されると、背中をゾワゾワが走ってしまうようです。
私は第4話の「出血」が、もう、視線を逸らしてしまうくらいゾワゾワしました…カフェで読んでいて周りの目があるにも関わらず体をくねらせて、ゾワゾワを振り解こうとしてしまいました…恐怖症に刺さりました…
本作を読むときっとどれかのお話が、あなたの恐怖症を撫でてくることでしょう。 - ★★★ Excellent!!!日常の隙間に潜む、恐怖と狂気を描く──静謐な現代怪談集
この作品は
「恐怖症」という人間の原初的な感情を
日常の隙間に潜む
不気味なリアリティと共に描いた短編集です。
どの話も
派手な怪異や明確な〝恐怖の元〟を示さず
むしろ人間の心の奥底に巣食う
〝嫌悪〟〝不安〟〝生理的拒絶〟を
巧妙に掘り起こしています。
まさに──
嫌悪対象が自己同一化していく心理的ホラー。
感染の概念を通じて
〝見た者が壊れる〟現代的怪談
世代を越えて受け継がれる
恐怖の連鎖
命と身体の境界が崩壊する
生理的狂気——
いずれも静謐で淡々とした筆致の中に
狂気がじわりと滲み出ます。
恐怖を声高に語らず
読後に「ぞわり」と皮膚が逆立つ感覚を残す
洗練された現代怪談…続きを読む