第4話【1】シャーロキアン

 桜花堂学園高等部一年、風紀委員(仮採用期間中)改め、風紀委員( 暗号屋出向中)の鳥羽華子は、ほっかむりに割烹着という昔ながらのファッションで、旧校舎校長室の掃除に励んでいた。


 ここを使用している安吾のためだと考えると気は進まない。だけども風紀委員長の伏見からの願いだと思えば、面倒な掃除も楽しく感じられるから不思議なものだ。鼻唄だって自然に出てしまう。


「そこの床掃除が終わったら、珈琲を淹れてくれ」


 応接セットのソファーから声が聞こえた。これまでずっと読書に没頭していた安吾がやっと口を開いたかと思えば、それは華子に新たな仕事を与える用件だった。


 一緒に手伝って早く掃除を終わらせてしまおうなんていう発想は、真っ先にゴミ箱へ捨ててしまったに違いない。捨てる順番を少し間違えただけ。だから安吾先輩は何も悪くない……と、華子は思い込もうと努力する。


「たまには自分が飲む珈琲ぐらい、自分で淹れて下さいよ」


 華子は安吾と目を合わせることなく、せめて掃除の邪魔をしないでくれと訴えた。床掃除が終わったら、次は窓拭き。長い間、誰も手入れしていなかったから汚れが頑固なのだ。どんなに責められようとも、優先事項は替えられない。替えるつもりはない。


 ところが安吾は予想に反して、不満を漏らすことなく、代わりに芝居掛かった大仰な溜息をひとつ。


「それは残念だな。ハナのことをよろしく頼むと、小太郎から手渡されたのだが……。仕方ない、俺一人でどうにか片付けよう」


 可愛らしくピンクのリボンでラッピングされた紙袋。それをテーブルの上に放り出した安吾は、のっそりとソファーから立ち上がった。


「それは……何ですか?」


 無視を決め込もうとしていた華子は、早くも挫折。伏見の名前を出されては、ここで黙っているわけにはいかなかった。


「手作りのクッキーだとか言っていたな。これは俺が甘い物を苦手にしていると知った上での嫌がらせだな」


 ピクリ。華子の耳が動いた。


 華子の脳が勝手に妄想修正したのでなければ、安吾の口から発せられたのは「小太郎」・「手作り」というギャップ性の特殊コンボ。


 それはまさか「伏見小太郎の手作りクッキー」という意味ではあるまいか。お菓子作りが趣味の「ゆるふわ男子」、それが伏見小太郎。


 華子は慌てて安吾の両肩を上から抑えつけ、元の位置へと座らせた。


「邪魔しないでくれ。今から俺は珈琲を淹れるんだ」


「な、何を言っているんですか。珈琲ぐらい私が淹れますよ。安吾先輩はいつも暗号解読で脳ミソを使っているんです。依頼がない時ぐらい、ゆっくりしていて下さい。ちょうど掃除も終わりましたから、早速お茶の時間にしましょう」


 まるで広場で遠くにボールを投げられた犬。それが安吾の計算だと、頭では分かっているのに逆らえない。体が勝手に走り出すのだ。犬派の華子は、尻尾を振りながら紙袋に手を伸ばした。


「ハナがそこまで言うなら、甘えさせてもらおう」


「お任せください。この鳥羽華子、日本一の珈琲を入れて見せましょう」


 再び読みかけの本を開いた安吾に、華子は親指を立てて応えた。


 するとその時だ。校長室の扉がノックされた。


 こちらの返事を待たず勝手に入ってくる輩が多い中、いくら待ってもその様子はない。


「はい。今、開けます」


 華子が入口まで出向いて扉を開くと、そこには女の子が立っていた。華子の胸元あたりの高さに頭の天辺がある。桜花堂学園の制服を着ていることから、初等部の生徒だと推測した。


 見覚えのない顔だけど、もともと初等部の生徒と交友を持つ機会には恵まれないので、それは致し方ないこと。おそらく華子の過去に彼女との接点はない。


 もしかすると客として、安吾先輩と面識があるかもしれない。そう思った華子は振り返るが、安吾も初めて見るような顔で少女の出方を伺っているようだった。


「はじめまして。暗号屋さんは、こちらでよろしかったでしょうか?」


 幼い外見には似合わない丁寧な言葉。


 桜花堂学園に通っている児童生徒には、政治家や旧華族の流れを組む家系の子息も少なくはない。もしかすると目の前にいる少女も、その類かもしれない。華子はそう思った。


 それはさて置き、彼女のイントネーションのほうが華子には気にかかった。彼女の喋る言葉には、どこか外国語に似たアクセントが伴われていて、自然な日本語とは言い難かった。


 とても興味深い対象ではある。けれど珍しい物を見つけたかのような目で見ているのは、なにも華子だけではなく、彼女のほうも同じだった。


 彼女はジッと華子の顔を見つめて、視線を外そうとしない。


 これがSF系サスペンスならば、生まれ変わる前世では互いに対立した組織に所属していた異能者。本格ミステリーならば、五年前の殺人事件の被害者と加害者それぞれの娘。ラブコメ系ライトノベルなら、次の瞬間に「お姉ちゃん。やっと会えた!」と彼女の台詞がくる。そして近い将来は、恋のライバルだ。


 しかし原因はもっと単純なこと。華子は慌てて、ほっかむりを頭から取り外した。


「あ、ハイ、そうですよ。暗号屋へようこそ。解読の依頼ですか?」


 礼節をわきまえてこその風紀委員。初めての相手には、たとえ向こうが自分よりも目下であったとしても、できるだけ丁寧に接しようと常に心掛けている。


 それと本当は「こんな場所に来てはいけない」と、旧校舎に立ち入ったことを叱りたいところなのだが、それでは伏見から与えられた役目を反故することになってしまうので、与えられた仕事に徹することにした。


「私は今日、こちらの学園に転入して参りました一年生の知恩院千代と申します」


「……え、一年生?」


 自己紹介した彼女に驚かされた。


 いくら彼女が小柄で幼く見えると言っても、さすがに初等部の一年生ではないことは明らか。ということは中等部の生徒ということになる。所属を識別できる襟章を彼女の制服に探したが、転入したばかりのせいか、あるはずの場所にそれを見つけられなかった。


「どうかなされましたか?」


「あ、いえ……ごめんなさい。てっきり初等部の生徒だとばかり」


 言わなくて良いことをうっかり口にしてしまった。馬鹿が付くほど正直者だと、自分でも思う。むしろ馬鹿。


 そんな華子であるにもかかわらず、彼女は不機嫌な様子を浮かべることなく、少し首を傾げてニッコリと微笑んだ。


「お気になさらないでください。いつものことです。ただでさえ向こうの国だと、日本人は実際より若く見られがちですからね。子供に間違えられるのは日常茶飯事でした」


 彼女の口から出た「日常茶飯事」は「ニチジョー・サ・ハンジ」という海外俳優の名前みたいな響きがした。主にバイオレンス映画で、主人公の兄貴分的存在の役を得意とする中堅どころの名脇役。二度ほど助演男優賞にノミネートされている。そんな感じ。


「向こうの国って?」


「イギリスです。私は日本で生まれましたが、父のビジネスの関係で、物心ついた頃にはすでにイギリスで生活していました。


 やたらと発音の良い「ビジネス」。彼女の父親がどんな職業に就いているのか定かではないが、黒縁眼鏡に細身のスーツ姿が頭に浮かんだ。


「ああ、そうか。キミが例の」


 華子は帰国子女である彼女の噂を耳にしていた。しかし、ここで一つ疑問が湧く。華子が知っているのは、自分と同じ高等部一年に転入してきた女の子の話だ。中等部での話ではない。ひょっとすると姉妹で転入してきたのかも。


「お姉さんがいたりします?」


「いいえ」


 華子の質問に不思議そうな顔をしながらも、彼女はハッキリと否定した。


 華子はもう一度、彼女の足の爪先から順番に頭へと向かって全身を眺める。そして自分でも半信半疑ながらも、辻褄の合う唯一の答えを提示した。


「えーと、だとすると……もしかして、一年生というのは高等部の?」


「はい、その通りですよ」


 当たり前だと言わんばかりの返事。


「桜花堂学園高等部一年、知恩院千代ちおんいん ちよです。以後、お見知りおきを」


 再び自分の名前と微笑みを華子に差し出した彼女は、そうしてから部屋の奥にいる安吾を気に掛けるように目を向けた。その視線に華子は慌てる。


「しまった、私としたことが……。わざわざ足を運んでいただいたお客様を案内もせず、入口で長々と申し訳ありません。さあ、どうぞ中へ。あちらでゆっくりと相談内容を伺いますから」


「いえ、今日は御挨拶に伺っただけなのです。とり急いで依頼したいことがあるわけではないのですが、こちらの噂を聞いて、その活動内容に興味がありましたものですから」


「そうなんですか。でしたら丁度、今からお茶の時間にしようと思っていたところなんです。まあ、せっかくですから一緒にどうですか?」


 華子はそう言って、彼女を強引に中へ招き入れた。数々の無礼をしたまま帰らすわけにはいかない。それに同じ学年となれば、これから学内で顔を合わせる機会もそれなりに考えられるわけで、気まずい空気のままでは忍びない。


「構わないですよね? 安吾先輩」


 華子は安吾に許可を求めたのだけども、その言葉の裏には「客が来たのだから、いつまでもソファーに寝転がっていないでくれ」という意味が含まれている。


「さあ、そちらのソファーに座って待っていて下さい。知恩院さんは珈琲と紅茶、どちらにします?」


 たしか来客用に紅茶もあったはずだと、彼女を安吾の向かい側に座らせながら好みを尋ねる。早くも暗号屋の事務員が板についてきている華子であった。


「紅茶のほうが良いです。それと私のことは『千代』と、ファーストネームで呼んでくれるほうが嬉しいです」


「OK。じゃあ、千代ちゃんは紅茶だね」


「ええ、お願いします」


「外国育ちは皆、ファーストネームのほうが自然なのか?」


 今度は安吾が千代に質問した。今まで静かに自分を観察するような目で見ていた安吾が急に口を開いたので、千代は座ったばかりのソファーから飛び上がりそうに驚いていた。


「安吾先輩、その前に私たちの自己紹介がまだですよ」


 その様子に安吾をたしなめる華子。しかし千代は平然と言った。


「暗号屋を営む三年生の宇徳安吾さんと、風紀委員から出向扱いになっている一年生の鳥羽華子さんですよね。誰もがうらやむ仲良しコンビだと、巷の噂をお聞きしております」


 事前に華子たち二人の名前を知っていた千代。しかも華子の新しく変わったばかりの肩書きまで完璧だ。用意周到で出向いて来るなんて、よっぽど華子たちに興味があるに違いない。悪い気はしない。親近感。グッと距離が縮まった気がした。


 だけども訂正すべき点もある。


「千代ちゃん。これは大事なことなんだけど、って部分は間違いだよ」


「そうだな。俺たちにあるのは主従関係だ」


「違います」


 ハッキリと否定する華子。


「じゃあ千代ちゃん、私のことも『華子』と呼んでよ。安吾先輩は『ハナ』なんて、飼い犬にオスワリを教えるみたいに呼ぶけどさ」


 華子の冗談めいた言い方に、千代はクスクスと小さく笑った。


「ええ、是非そうさせてください」


     ☆


 しばらくして準備を整えた華子は、白い皿に盛ったクッキーを応接テーブルの中央に置いた。伏見から差し入れられたという先ほどのクッキーだ。それと一緒に紅茶のティーポットとカップも千代の前へ並べる。


「美味しそうなクッキーですね。ティータイムには、ダージリンティーに添えられたママの手作りクッキー。イギリスにいた頃の定番でした」


 安吾には珈琲。そして自分はカフェオレ。テーブルの上に用意した物すべてを並べ終えてから、華子は安吾の隣に腰を下ろす。


「もうちょっとそっちに詰めてくださいよ」


 安吾を横へ押しやってから、華子は改めて千代に質問した。


「日本での家は学校から近いの? 慣れないと大変でしょ」


「父の実家、ずっと祖母が一人で暮らしていた家です。ここからは近いですよ。歩いて通える距離なので、とても楽チンです。イギリスでは学校へ行くのにサブウェイを利用していましたから、毎日が大変でした。特に朝は時間に追われて」


  ナチュラルな発音の英単語を織り交ぜて喋る彼女。授業で習った単語でも、英語が混じると戸惑ってしまう。


「サブウェイって地下鉄?」


「ええ、そうです」


 華子の質問に千代は、舌をペロリと出してから「しまった」という具合に答えた。彼女の方も少し打ち解けてくれたようで微笑ましく思う。


 そこに突然、華子と千代の歓談を遮って、安吾がテーブルの上に身を乗り出した。手をついた時の揺れで、ガチャガチャと食器が音を立てる。


「それで千代、本当はどこの国から引っ越して来たんだ?」


 しばし三人の間に不穏な沈黙の時間が流れる。安吾がテーブルを揺らしたせいで、千代のカップからは紅茶がこぼれていた。


「ちょっと……安吾先輩、突然何を言い出すのですか。失礼にもほどがありますよ」


 慌てる華子をよそに、千代はニヤッと笑った。今までの微笑みとは明らかに種類が異なる。アニメ調に言えば「不敵な笑み」。小説風に言えば「毒を含んだ甘い果実」。


「さすが暗号屋さん。でも、どうしてそんな疑問を持たれたのか教えて頂けますか?」


 今までとは違い、流暢な日本語のイントネーションだった。その言葉の裏側には、心なしか攻撃的要素が見え隠れしているような気までしてくる。ここまでの千代は、彼女によって演じられたキャラクターだったということなのか。


 でもどうせ変身するなら、最初に妄想した「お姉ちゃん」設定のほうが良かった。それともまだ二段階ぐらい変身回数を残しているのかもしれない。最終的には「実は女の子に見える男」というベタで攻めてくるのかも。


 あまりの衝撃に脳内が破壊された華子を置いて、安吾は疑いを持った理由を明かす。


「簡単なことだ。イギリスでは『クッキー』のことを『ビスケット』と呼ぶ。それだけなら日本人にも分かり易いよう、親切で言葉を選んでいるのかとも思ったが、決定的だったのは『サブウェイ』だ。イギリス英語で地下鉄は『チューブ』だろ。千代が使っているのはアメリカ英語だ」


  ―――――――――――――――


      アメリカ    イギリス

クッキー COOKIEクッキー BUSCUITビスケット

地下鉄  SUBWAYサブウェイ TUBEチューブ


  ―――――――――――――――


完璧な正解パーフェクト・アンサー


 千代ちゃんはそれを聞いて満足そうに拍手した。スカートの裾から伸びた膝下は、さっきまで隙間なく両足が綺麗に揃えられていたはずなのだけど、こちらの気がつかない内に足をガサツに組んだ格好になっている。


「試したのか?」


 安吾は眉をひそめた。それは千代に試されたことに対するものか、それとも千代の態度に対するものか、はたまたその両方か。


「うん、この学校にはプロフェショナルな名探偵がいると聞いたものだからね。ちょっと実力を試させてもらおうかと思って。でもね、ひとつだけ訂正しておくよ」


「やっぱり……本当は男なんだろ!」


 華子はソファーから立ち上がり、彼女(?)に向かって叫んだ。


 安吾たちからは白い目。おもむろに千代が華子の前へ進み出ると、渾身のボディブロウを放った。


「女だよ」


「ぐあふッ」膝から落ちる華子。敗北。


「私が言おうとしたのは、イングランドで育ったのは本当だということ。意識してワザとアメリカ英語を使用して、出身国を偽っているように演じてみた。まあ、結局は私にダマされたってことだよ」


 すなわち安吾の指摘は当たっているが、千代がイギリスから転校してきたというのは嘘ではなく、本当のことだということ。裏の裏を突いてきたわけだ。


 アメリカ出身と偽って、普段通りにイギリス英語を使うという選択肢もあったのだろうけど、学校側には個人情報が渡っている。華子が帰国子女の噂を知っていたように、もしも自分の情報が相手側に詳しく伝わっていたなら、そこから嘘を見抜かれてしまうと踏んだに違いない。


 情報の収集力もひとつの能力として認めるべきだろうけど、彼女からしてみれば、その見抜かれ方は本意ではない。彼女が知りたかったのは、安吾の洞察力。そして暗号屋としての実力。


「千代ちゃん……どうしてそんなことを?」


 ボディブロウを喰らっておいて今さらだけど、にわかには信じられない。「実は人間の祖先は、仲間から驚かされた拍子に立ちあがったオオアリクイだった」というぐらい悪い冗談にしか聞こえない。


「私が尊敬する人物はシャーロック・ホームズ。世界で最も有名で優秀な探偵だ」


 シャーロック・ホームズとは、イギリスの推理小説家コナン・ドイルが生み出した名探偵。熱狂的な彼のファンを「シャーロキアン」と呼ぶ。


「私は彼に追い着くべく、この学校で探偵屋を営むことにした。そのためには暗号屋さんの存在は邪魔になる。もしも私の嘘を見抜くこともできないような低能であれば、相手にする価値もないと判断するところだったけど、これは油断ができないね。暗号屋さんを私のライバルとして認めてあげるよ」


 そう言うと千代は、ソファーから立ち上がった。


「そうそう……一番大事なことを言い忘れるところだった。今日から隣の部屋、職員会議室を私の事務所として利用することにした。もしも解けない依頼があったら、どうぞ私に頼ってくれて結構。紅茶のお礼に、少しぐらいなら料金はサービスしてあげるから、いつでも遠慮せずに声を掛けてね」


 新たに湧き上がる華子の不安と疑念。


「もしかして……千代ちゃん、職員会議室の使用許可は風紀委員から?」


「ああ、風紀委員長の伏見先輩に勧めてもらった。探偵屋を開業するなら、そこの部屋が空いているって」


 イギリスから来た探偵少女。安吾以外にトラブルメーカーが一人増えた。


 急に手のひらを返したように、安吾の旧校舎使用を認めた伏見に違和感を覚えなかったわけではない。


 しかしこれで、はっきりした。


 問題を起こしそうな生徒を旧校舎に集めて、一般生徒から隔離してしまおうという画期的かつ斬新な計画。臭い物を捨てられないなら、フタを閉じちゃえ的な発想。


 そして何より、この計画の真に恐ろしいところは、彼らの管理人として生贄が捧げられたことにある。そのための風紀委員正式採用。というよりも、問題を起こしそうな生徒の中に、華子の名前も入っていたのかもしれない。


「おい、シャーロキアン」


 部屋を後にしようとする千代を安吾が呼び止めた。


「俺からも一つ問題だ。白髭の老人、グラマー美女、小学生少女。この中に魔法使いが一人いるとするなら、三人のうち誰だ?」


「そんなの、決まっているでしょ。白髭の老人よ。ちなみに『シャーロキアン』はアメリカや日本での呼び名。本場イギリスでは『ホームジアン』と呼ぶ。覚えておいて」


 千代は不敵に言い残し、そのまま校長室から外へ立ち去って行く。


 その後、またしても旧校舎に華子の絶叫がこだましたことは、言うまでもない。


 ちなみに魔法使いの問題は、クイズではなく心理テスト。


「白髭の老人」はイギリス人が抱く典型的な魔法使い像。そして「グラマー美女」はアメリカ人。そして「小学生少女」と答えた人は、立派な日本人的発想の持ち主だそうだ。

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