医学部志望の才色兼備な女子高校生、大城優梨と解離性同一性障害の男子高校生、影浦を中心に繰り広げられる医療系ミステリー。
最初は、2人が出会い、優梨が影浦に興味を持つところから物語がはじまります。
そして、感染経路不明のB型肝炎ウイルスの新規感染患者が優梨の父の病院に運ばれてきて、感染経路について考え始めるところから、本格的なミステリーが動き出します。
高校生らしい恋バナもあり、事件もあり、まるでホラーを見てるような怖さもあり、そして、感動を誘うヒューマンドラマもたっぷり楽しめる、そんな、本格医療系ミステリー。絶対に面白いです。
作者さま、相当時間をかけて調べて作られていると思える、かなりクオリティの高い作品だと思います。
ストーリー展開も自然で、文章での表現力も素晴らしく、簡単に小説の中に入り込む事ができました。
特に、後半のクライマックス部分、凄いです!本当に読んでみて頂きたい!
私は、怖くなって顔をしかめながら読みました!
この濃厚で読み応えのある作品、是非是非、読んでみて頂きたいです。
読み応えのある見事な作品です。
青春ドラマを思わせるスタートから、一気にミステリアスな展開に畳みかけ、さらにその奥にうごめく深い闇へと踏み込んでいきます。
この波乱万丈のドラマをより面白くするのがなんといってもキャラクターの魅力。
大病院の令嬢にして美人で頭がよくて何事にも好奇心旺盛で、という女子高生『悠梨』
そんな彼女が不思議と引き寄せられたのが『影浦』
そしてこの二人を取り巻くのが家族も含めて魅力的なキャラクター達。
思い返せば一貫してこの二人の恋の物語ではあるのですが、まぁ甘いばかりではありません。
影浦には秘密があり、悠梨が惹かれるのはこの秘密の部分なのです。
そしてこの秘密が明らかになるにつれ、さらに多くの闇が二人を覆っていきます。
医療系ミステリーを標榜するだけあって、その設定や知識は綿密で驚くことばかりです。
このリアリティーがドラマのリアリティーにも説得力を与えているのがわかります。
影浦の抱えた秘密に翻弄される人、それをつけ狙う人、もちろんそこに惹かれていくヒロインの悠梨、それぞれの動機・行動が厚みのあるドラマとなって面白さを重ねていきます。
そして物語が進むにつれて明らかになる意外な事実の数々。
何重にも絡み合った伏線の数々。
この物語にはまさにミステリーの面白さがいっぱいに詰まっています。
数々の困難に直面しながらも打開していく悠梨と影浦。
この二人が最後に見た真実とは?
そこに現れた光景とは?
作者の魂が詰まったような渾身の一作です。
それだけの読み応え、面白さがあります。
ぜひ読んでみてください。
この二人が登場する他のシリーズも控えていますから、ぜひ楽しんでみてください!
作者による前日譚、『慧眼の少女』に続いての拝読です。
『慧眼の少女』で個性を発揮した四人の高校生男女。
特に、「解離性同一性障害持ちの影浦瑛」と「天才少女・大城優梨」の二人を中心に、目まぐるしく物語が進行していきます。
前半は、瑛と優梨の出会いから始まる恋愛模様。
後半は、瑛の出生と、彼の体質に関わるミステリーが進行します。
若い恋心を育む二人の背後には、二人の「血液」を狙う、驚くべき犯罪組織の魔の手が迫っていた……。
医療ミステリーというだけあって、病院内の様子から血液に関する各事情にいたるまで、かなり専門的な内容にまで踏み込んでいます。
本格的な重厚ミステリーとしての読み応えが十分にあります。
また、読後に感じるのは、これは壮大な人間愛によって綴られた物語だということ。
人々の深い愛が、主役二人も、読者の心をも大きく包み込んでくれることでしょう。
ずっしりとした読み応えと、爽やかな風が吹き抜ける美しいラストシーン。
じっくりと長編小説の世界に浸ってみたい方にお薦めです!
再読です。
圧倒的な医療知識と豊富な語彙力によって描かれた本格学園医療ミステリー。これが処女作とはとても思えない高度な筆力に感服します。
一見、難解そうな文章でネット小説を読みなれた方は尻込みされるかもしれませんが、理路整然として尚且つ独特のリズム感を持っているので、慣れてくると心地よささえ感じます。前半はカラオケのシーンなど作者様の嗜好や人柄が感じられる爽やかな青春小説としても楽しめます。
もちろんミステリー・サスペンスとして秀逸。後半からクライマックスの展開は実にハードでスリリングでした。
深い○○○が胸を打つ真相編。からのエンディングは心地よい読後感をもたらせてくれます。登場人物らが幾多もの苦難や宿命を乗り越え築いたものは、まぎれもなく純愛・友情・そして○○の絆だと思います。
多くの方の目に触れて頂きたい力作であり秀作です。抜群の読み応えを保証します。
穏やかな日常、穏やかざる日常、それを巧みに組み込んだ物語だと思います。高校生たちのイマドキな恋愛なのかと思いきや、中盤から一気にその色を変えてミステリーがぐっと迫ってくる。ミステリーの部分が色濃くなるとあとは雪崩れ込むように読み込みました。丁寧な文章綴りは紙媒体の小説を読んでいるようでした。非常に優れた文章力と裏打ちされた医療知識によるミステリー展開は秀逸そのものです。
長い話はたちょっとなと躊躇されている方、少し背伸びして手に取ってみてください。すべてを読んだとき、その章タイトルにも唸るでしょう。あなたの脳内で静と動がきっと錯綜するーーこれはあなたを強く刺激する物語ときっとなることでしょう。
非常に面白いです。星を3つ超にしたい。今日時点で、既読者の3分の1強がレビューし、その殆どは星3つの評価という事実が、それを証明してします。
医療サスペンス活劇という言葉が有るかは知りませんが、そういう作品です。読んでも面白いですが、ドラマにすると面白いだろうなと思いました。
その点では、海堂尊先生の作品に通じるものが有ります。また、人間関係は東野圭吾先生の雰囲気。つまり、夷也荊さんの意見に賛成です。私は、登場人物紹介を読んで、”白い巨塔”路線かと想像したのですが、良い方向に予想は裏切られました。
作者は、書籍で読まれることを念頭に置いているなぁと私は感じるのですが、後半が盛り上がるように構成されています。四章からは一気読みです。長島スパーランドのジェットコースター並みに、活劇風の展開となります。三章までで7〜8万字あると思いますが、それを堪えて四章まで辿り着いてください。
また、各章の末節に別エピソードが編み込まれているのも、洒落ています。ちゃんと時間軸を合わせて本筋に収斂させるのは見事です。
最後に。色彩の言葉に対する作者の拘りを感じました。
初めは文章が固く思えたのですが、途中から一気読みでした。文系の小生でも解説が分かりやすく、語彙も豊富で、とてもこれが処女作で、メモで出来上がった作品とは思えませんでした。
理系的な理詰めは東野圭吾さんのようで、医療系とヒューマンドラマは海堂尊さんのようでした。しかも主人公は完璧な少女で、天才なのですが、「天才」を書くには作者も「天才」でなければ書けないと思いました。それだけ作者が「天才」か、もしくは非常に熱心に勉強してこれを書き上げた「秀才」であると思います。
しかも、この分量です。ここまで書くには、とてつもない時間と体力と、知力を使われたことでしょう。作者が「努力の天才」であることは間違いないのではないでしょうか。
なぜ星は三つまでしか入れられないのでしょう? この小説に、星三つだなんて考えられません。ではどうすれば良いのか。それは多くのかたにお読みいただいて、千でも二千でも、いえ、万単位の星で飾ることだと思います。
物語の詳細は概要をご覧ください。それよりも、このレビュー欄で書きたいことが一杯ありすぎて、混乱しております。一気に読了いたしました。拝読しながら、レビューにどんな魅力な点を書かせていただこうかと、途中までは冷静な自分がいました。ところが、読み進めていくうちに、他のかたへ何かをお伝えしたいと思いながら読んでいた自分が消えてしまい、どっぷりとこの物語の世界へつま先から頭まで沈み込んでおりました。こんな経験は滅多にありません。それほど感嘆すべき小説なんです。「面白い」「凄い」という言葉では表現できない。ああ、自分の語彙の無さが歯痒い。プロ作家の作品でも、これほど満足できる小説にはまず当たらない。それほどパーフェクトな小説です。
医療関係は確かに専門家並みの知識を駆使され、リアリティ溢れております。ミステリーとしてのエンターテイメント性も、既存の小説を遥かに超えています。でも、ここまで登場人物の一人ひとりに「血を通わせる」ことができる作家は、そうはいないと思われます。キャラクターに血を通わせるための構成力があってこそなのは、言うまでまでもありません。
混乱しながらも、これだけは言わせてください。今作を読まないのは絶対にもったいない!
すごい……。読み終わったときは、そんな感想しか出てきませんでした。
↑ここから↓の行まで進むのに五分ほど要しました(笑)
それほどに濃厚な作品です。
かなり長い作品ですが、飽きることなく読むことができました。
しっかりした構成と、深い専門知識、にもかかわらず、それらを全て過不足なく、かつ分かりやすく読者に伝達する文章。
この作者様、何者だろう!?と思いました。
作者様が東野圭吾さんの作品をよく読むとのことで、納得です。
前半は比較的青春小説よりの恋愛パート、後半は気を抜くことが許されないサスペンスドラマのようなミステリーパート。
どちらも楽しませていただきました。
そして、ラストの方で明かされる真実には強く胸を打たれます。
長時間を使ってでも、そのラストにたどり着く価値は十分にあります。
長いからといって、読まずにいるのはもったいない名作です!
以前からタイトルに惹かれながら、読了が遅くなったのは冒頭の荘厳さに自らの語彙が追い付けなかったためだ。
やっと読了できた今、やはり相応の時間を確保して臨んで正解だったと心から思う。
紹介文でも説明されているように、第3章まではミステリーというより青春恋愛物語の色彩だが、第4章以降には「なるほど!そういうことか!」という展開が待っている。
張り巡らされた伏線と人間関係と膨大な医療情報に溺れかけそうになるが、読み終えた後のなんともいえないこの感覚は、やはりミステリーの醍醐味だろう。タイトルと序章に籠められた意味がようやく掴めて、霧が晴れる思いだった。
本作品の一番の魅力は、単なる謎解きではなく、事件の奥にある人間の思いや日々の生き様に様々な角度から光が当てられている点だと思う。その意味では、作者が説明なさるように、ほぼすべてのジャンルを網羅している。
読み終えて思ったのは、それこそが持ち味の作品ではあったけれども、影浦君が解離性同一性――ああ、多重人格って書いた方が楽だ――そう、彼がそれである必然は結局あまりなかったかな。
血をめぐるブラフ、緑と回想の挟まれる女性、それらすべてのフラグをきっちりと回収することができたのは、いやあ、よく頑張ってくれたなと。
上から目線の書き方をしてますが、年相応の行動をとる優梨ちゃんが、そこからしっかり成長していくのがほんとよかった。
影浦君は――うん、一人前になれてるな、こう持っていきたかったんだな。
とかく少年少女の王道な成長物語としては、筋がやたらしっかりしてました。
前の人のレビューには、出すとこ間違えたんじゃないかと書いてますが、そんなことねえよ?
こういうスタイリッシュな物語はwebだからこそなおありでしょう。
でも注意した方がよかったと思うのは、説明文節が後半、やたらと長かったりすること。内容をつぎ込むことに専念した姿勢は、しかし失わないでほしい。
読ませる工夫の余地はまだまだできると思います。
今後の期待もこめて、星は三つ。
ありがとうございました。
正直四人の立ち絵で挿絵描きたくなるぐらいよかったですw