静と動が錯綜する物語

穏やかな日常、穏やかざる日常、それを巧みに組み込んだ物語だと思います。高校生たちのイマドキな恋愛なのかと思いきや、中盤から一気にその色を変えてミステリーがぐっと迫ってくる。ミステリーの部分が色濃くなるとあとは雪崩れ込むように読み込みました。丁寧な文章綴りは紙媒体の小説を読んでいるようでした。非常に優れた文章力と裏打ちされた医療知識によるミステリー展開は秀逸そのものです。
長い話はたちょっとなと躊躇されている方、少し背伸びして手に取ってみてください。すべてを読んだとき、その章タイトルにも唸るでしょう。あなたの脳内で静と動がきっと錯綜するーーこれはあなたを強く刺激する物語ときっとなることでしょう。

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