繊細な筆致。細かな医学知に基づいてできあがった一作。

読み終えて思ったのは、それこそが持ち味の作品ではあったけれども、影浦君が解離性同一性――ああ、多重人格って書いた方が楽だ――そう、彼がそれである必然は結局あまりなかったかな。
血をめぐるブラフ、緑と回想の挟まれる女性、それらすべてのフラグをきっちりと回収することができたのは、いやあ、よく頑張ってくれたなと。
上から目線の書き方をしてますが、年相応の行動をとる優梨ちゃんが、そこからしっかり成長していくのがほんとよかった。
影浦君は――うん、一人前になれてるな、こう持っていきたかったんだな。
とかく少年少女の王道な成長物語としては、筋がやたらしっかりしてました。
前の人のレビューには、出すとこ間違えたんじゃないかと書いてますが、そんなことねえよ?

こういうスタイリッシュな物語はwebだからこそなおありでしょう。
でも注意した方がよかったと思うのは、説明文節が後半、やたらと長かったりすること。内容をつぎ込むことに専念した姿勢は、しかし失わないでほしい。
読ませる工夫の余地はまだまだできると思います。

今後の期待もこめて、星は三つ。
ありがとうございました。



正直四人の立ち絵で挿絵描きたくなるぐらいよかったですw

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