訳あり高校生男女×医療ミステリードラマ!少女の頭脳は組織犯罪を暴けるか

作者による前日譚、『慧眼の少女』に続いての拝読です。

『慧眼の少女』で個性を発揮した四人の高校生男女。
特に、「解離性同一性障害持ちの影浦瑛」と「天才少女・大城優梨」の二人を中心に、目まぐるしく物語が進行していきます。

前半は、瑛と優梨の出会いから始まる恋愛模様。
後半は、瑛の出生と、彼の体質に関わるミステリーが進行します。

若い恋心を育む二人の背後には、二人の「血液」を狙う、驚くべき犯罪組織の魔の手が迫っていた……。

医療ミステリーというだけあって、病院内の様子から血液に関する各事情にいたるまで、かなり専門的な内容にまで踏み込んでいます。
本格的な重厚ミステリーとしての読み応えが十分にあります。
また、読後に感じるのは、これは壮大な人間愛によって綴られた物語だということ。
人々の深い愛が、主役二人も、読者の心をも大きく包み込んでくれることでしょう。

ずっしりとした読み応えと、爽やかな風が吹き抜ける美しいラストシーン。
じっくりと長編小説の世界に浸ってみたい方にお薦めです!

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