概要
魔物のように酷薄な男装の麗人×鎮魂の祭での密室殺人×安楽椅子探偵
その祭は金目当てで殺された平家の落人の怨霊を鎮めるために始まったという。その祭で最も重要な儀礼である鎮魂の舞いを行なうために二重の密室となった拝殿に籠もっていた男が、異常な状況で殺害される。しかも、その直後と思われる頃に、その男の姿がまったく別の場所で目撃されていた。被害者は幽霊となって別れを言いに来たのだろうか? 誰もが見惚れる美貌でありながら最凶の毒舌家として学界で忌避されている男装の宗教史学者・愛染真琴は、フィールドワークで現地を訪れていて事件の目撃者となった清水信夫の話を聞くだけで、その謎が解けたというのだが……
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!こういう探偵譚が読みたかったのです
現場を目にすることなく、耳にした情報から、鮮やかに事件を読み解いてしまう。麗しき安楽椅子探偵の名は、愛染真琴。宗教史学者である彼女は、悪魔の如き美貌と頭脳、そして口の悪さの持ち主でもあります。そこに複雑な想いを抱く者は多いでしょう。ワトソン役となる清水信夫も、その一人です。
何とか彼女をへこませてやりたいと語り聞かせたのは、彼が実際に遭遇したある事件の概要でした。
ネタバレは本意ではありませんが、一つだけ。清水信夫の語りに、ごまかしはありません。推理の条件はフェアに提示されています。
果たして愛染は、そして皆さんは、事件の真相を見抜けるでしょうか。