罪喰らいのノーヴェ

一見ありがちな設定ながらも話の道筋は王道で文章もテンポが良く読みやすく10万文字程度で単行本一冊程度とまとまりよく考えられた構成に唸らされました

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（388文字）

『罪喰らいのノーヴェ 焔コブラ』は、はただのバトル作品ではありません。過去に囚われた少年・九竜朱仁が、「贖罪」という重いテーマを背負いながら、再生の道を模索する物語です。

　孤独な罪の意識と、姉の無償の愛。異形との戦いのなかにあるのは、血ではない絆と、赦しの可能性。そして、仲間たちの存在が、朱仁の中に微かな再生の芽を灯していくのです。幾度も叩き伏せられながら、それでも立ち上がる少年の瞳に宿るのは、生きることを選び取ろうとする強さ。その姿に、読者はいつしか祈るような思いで彼を見守ることになるでしょう。

　痛みとやさしさが交錯するこの物語。続きが待ちきれないほど、静かに胸を打ちます。

理不尽な現実に立ち向かう一人の少年の魂が、いかに変貌を遂げていくか。
その力強い描写が、読む者の心に深く響く作品です。

日常のすぐ隣に潜む、想像を絶する闇。
ごく普通の少年だった九竜朱仁は、ある日突然その世界に引きずり込まれます。
彼の胸に刻まれた、過去の悲劇から生まれた「理不尽」への強い怒り。
人間の理解を超える「吸血鬼」を前に、彼は恐怖に震え、非力さに打ちのめされます。
それでも、彼は逃げずに抗う道を選びます。

弦巻葵という圧倒的な力を持つ師に導かれ、過酷な訓練と容赦ない現実の中で幾度も挫折を経験し、九竜は自身の弱さを受け入れます。
その度に彼は立ち上がり、さらなる深化を遂げていきま…続きを読む

主人公の覚悟や、強い意志が光る作品。

硬派な文章で描かれる世界は世界観も重厚でよく練り上げられたものであると感じます。
異種族である吸血鬼との間の抗争を、戦争として取り扱い、戦闘の前段階を掘り下げる話は新鮮で心に留まりました。

主人公をはじめとする周囲の人間もそれぞれ痛みを抱えながらも強く生きる姿は魅力的です。
彼らの振る舞いから漏れる人間らしい苦しみや葛藤にも引き込まれ、だからこその覚悟がかっこいい。

セリフのセンスも洋画のようで力強くユーモアも効いていて、会話シーンも魅力の一つ。

硬派でスリリングな物語を求める方、ぜひおすすめです。

主人公は学生であったはずだが、急に吸血鬼と戦うことに！
主人公の成長が、ダークファンタジーの中に織り込まれており、とても惹かれます😆

スタイリッシュな戦闘シーンも含め、絶対に読んだ方がいい作品です！

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（338文字）

ある日、吸血鬼に襲われた少年・九竜くんは
吸血鬼と相対する組織、「羽狩」に所属する
弦巻葵さんという女性に助けられます。

そしてこのことをきっかけに、
九竜くんも羽狩に所属すべく
戦闘訓練を受けるのですが…



圧倒的なバトルシーンに加え、
ひと癖もふた癖もある羽狩の人たち。
九竜くんのこれからの生活が
気になって仕方がないです。

ぜひダークファンタジー好きな方に
おすすめしたい作品です！！！

舞台は近未来日本。世界的紛争の混乱が続く中、古来から人類を脅かしてきた「吸血鬼」の存在が、再び人類に牙を剥け始めた世界。
主人公は、過去に傷を抱える少年、「九竜」。学生として日常を生きてきた彼はある出来事をきっかけに、吸血鬼対抗組織である「羽狩」に保護されます。

ダークファンタジーなのですが、ファンタジー要素の強いバトルばかりではなく、主人公の成長の軌跡を丁寧に描かれている御作品です。
バトル一つとっても、まるで映画を見ているような苛烈なアクションシーンの根底には、傷を負った人間の生々しい叫びと痛みが流れています。
特徴的なのは、スタイリッシュなバトルと並走して主人公の内面を描く心理描写も…続きを読む

第18話までの感想です。

どこか私たちの日常と地続きなのに、まったく異質な日本。
ふとした瞬間に死が迫る世界で“吸血鬼”を狩る弦巻葵に出会い、朱仁は自らも戦う覚悟を決める。
苛烈な訓練の果てに彼が掴むのは希望か、終わらない血の連鎖か。

戦闘描写の迫力はもちろん、他者との距離感を測れず戸惑う朱仁の不器用さも見どころです。
生傷の絶えない日々の中で、少年は〈羽狩〉で何を得て、何を失うのか──
この先何が起きるのか怖いと思いつつ、読む手の止まらない作品です。