『罪喰らいのノーヴェ 焔コブラ』は、はただのバトル作品ではありません。過去に囚われた少年・九竜朱仁が、「贖罪」という重いテーマを背負いながら、再生の道を模索する物語です。
孤独な罪の意識と、姉の無償の愛。異形との戦いのなかにあるのは、血ではない絆と、赦しの可能性。そして、仲間たちの存在が、朱仁の中に微かな再生の芽を灯していくのです。幾度も叩き伏せられながら、それでも立ち上がる少年の瞳に宿るのは、生きることを選び取ろうとする強さ。その姿に、読者はいつしか祈るような思いで彼を見守ることになるでしょう。
痛みとやさしさが交錯するこの物語。続きが待ちきれないほど、静かに胸を打ちます。
理不尽な現実に立ち向かう一人の少年の魂が、いかに変貌を遂げていくか。
その力強い描写が、読む者の心に深く響く作品です。
日常のすぐ隣に潜む、想像を絶する闇。
ごく普通の少年だった九竜朱仁は、ある日突然その世界に引きずり込まれます。
彼の胸に刻まれた、過去の悲劇から生まれた「理不尽」への強い怒り。
人間の理解を超える「吸血鬼」を前に、彼は恐怖に震え、非力さに打ちのめされます。
それでも、彼は逃げずに抗う道を選びます。
弦巻葵という圧倒的な力を持つ師に導かれ、過酷な訓練と容赦ない現実の中で幾度も挫折を経験し、九竜は自身の弱さを受け入れます。
その度に彼は立ち上がり、さらなる深化を遂げていきます。
吸血鬼との戦闘では、知恵を絞り覚悟を試される緊迫した頭脳戦が繰り広げられます。
血と硝煙の匂いが立ち込めるような描写が、戦場の真っ只中にいるかのような臨場感へと誘います。
怒りから始まった彼の戦いは、姉の百葉の温かい愛情や、天藤との出会いと心の交流によって、大切な誰かを守りたいという感情に昇華されていきます。
その変化は、九竜の成長を自分のことのように感じさせてくれます。
理不尽な世界に抗い、自らの意志で道を切り開いていく主人公・九竜朱仁の姿を通して、この物語は私たちに勇気と感動を与えてくれます。
彼の戦いとその魂の変貌の軌跡を、ぜひご自身の目で確かめてみてください。
舞台は近未来日本。世界的紛争の混乱が続く中、古来から人類を脅かしてきた「吸血鬼」の存在が、再び人類に牙を剥け始めた世界。
主人公は、過去に傷を抱える少年、「九竜」。学生として日常を生きてきた彼はある出来事をきっかけに、吸血鬼対抗組織である「羽狩」に保護されます。
ダークファンタジーなのですが、ファンタジー要素の強いバトルばかりではなく、主人公の成長の軌跡を丁寧に描かれている御作品です。
バトル一つとっても、まるで映画を見ているような苛烈なアクションシーンの根底には、傷を負った人間の生々しい叫びと痛みが流れています。
特徴的なのは、スタイリッシュなバトルと並走して主人公の内面を描く心理描写も描かれているところです。ただ戦うだけではなく、戦いを通して成長する主人公の姿が鮮やかに浮かび上がります。
単なる復讐劇や主人公覚醒系の展開に陥ることなく、生身の脆い人間として強大な吸血鬼に立ち向かっていく主人公。
彼が歩む痛みと傷の物語から、目が離せません。
本作は2043年の日本を舞台に、人智を超えた吸血鬼と、密かに抗争を繰り広げる専門組織「羽狩」の戦いを描いた重厚な近未来譚です。
現在「第21話」までを読了にてのレビューになります。
物語は、かつて父を亡くした高校生の九竜が敵の襲撃を受け、救い出されたことで現実の裏側を知り、やがて自ら戦いの場へと身を投じる過程を丁寧に描いています。
圧倒的な力を持つハンター弦巻葵やその上司である芥子川との出会い、姉の反対を経て、九竜は着実に力と覚悟を得ていきます。
混沌とした時代を生き抜く者たちの姿が生き生きと描かれており、特にアクションは手に汗握ります。そのリアルな描写は一本の映画を観ているような錯覚すら感じました。
よくある超常の力に依存せず、厳しい訓練と決意に裏打ちされた「人の戦い」に主軸を置く構成は、心に強く残りました。
闘う者の信念と苦悩が胸に響く、骨太のダークファンタジーです!
とくに戦闘シーンが迫力満点。
吸血鬼に襲われた主人公 九竜が、超絶美人に助けられ、スカウトを受け訓練を始める。
その辺りから、戦闘シーンがぐっと増える。
戦闘訓練、島での軍事ドローン、廃屋爆破!
周りの景色や、熱量を感じる文章が、読み手を先へと先へと誘う。
数々の訓練を重ね、戦場へと出た先では…!
ダークファンタジーでありながら、クスリとしてしまう部分もあり楽しめる。
九竜の過去を知り、後押しするもよし!
人間離れした超絶美人 葵を推しにするもよし!
弟思いの九竜の姉をお姉様と呼ぶもよし!
まだまだお話は続くようです。
ぜひ、皆様も楽しんで下さい✨️
企画から参りました。
2043年の近未来を舞台にした、吸血鬼との戦いを描くダークファンタジーです。
けれど本作が魅せてくれるのは、ただのバトルではありません。
失われた日常の中で、それでも誰かを守りたいと願う人たちの生き方そのものです。
主人公・九竜朱仁は、ごく普通の高校生。けれどある事件をきっかけに、理不尽な暴力の渦に巻き込まれていきます。
そんな彼が出会うのが、圧倒的な戦闘力を持つ女性・弦巻葵。
彼女をはじめとする登場人物たちは皆、強さと弱さを抱えながら、それぞれのやり方で世界と向き合っています。
派手なチート能力やお約束の展開に頼らず、人が人として戦う姿を真摯に描いている作品。
ダークで重厚な物語が好きな方、しっかりと作り込まれた世界観を味わいたい方に、ぜひおすすめしたい一作です。
2043年の近未来日本を舞台に、強大な吸血鬼と対峙する人類の悲壮な戦いが描かれるダークファンタジーです。第1・2話では、社会背景や主人公の現状が描かれます。
高校生が吸血鬼に襲われ、ハンターの一員として憎悪と称号を胸に立ち上がる姿が描かれ、戦慄と緊迫の導入が胸を打ちます。
説明は丁寧で重厚な世界観が魅力です。派手なチートではなく、訓練と苦闘を経ながら少しずつ戦力をつけていく“リアルな成長譚”が軸となっており、緻密な戦闘描写と心理描写のバランスもよく、『アンナチュラル』のように現代社会と非日常(吸血鬼)を織り交ぜたリアル寄りの展開や、『ストレンジ・シップ』のような異能特化よりも世界のリアルに根差した“人間の戦い”が印象的です。また、実在の国際秩序の崩壊から始まる世界構築は、社会派SFとも通じ、物語に奥行きを与えています。
序盤から読者を作品世界へと引き込む力があります。ダークファンタジーと現代バトルを求める方におすすめ。
最新話まで拝読させて頂きましたのでレビュー失礼いたします。
本作は描写が緻密でキレがよく、重厚な作風に魅了されます。
吸血鬼という人類を食料としてみなす残虐性の高い敵、「羽狩」という吸血鬼に相対する組織。主人公九竜くんは、この吸血鬼に襲われたところを「羽狩」の一員である弦巻さんに助けられるところから、物語が展開していきます。
この弦巻さんが、またとても強くかっこいい女性なのです。圧倒的強さを誇る彼女の言葉には、戦場とは、軍人とは何なのか、一つ一つの言葉に重みがあるようでもあります。
ですがそこに巻き込まれていく九竜くんにも大事なご家族がいるわけで、その関係ややり取りからも目が離せません。
またバトルシーンも迫力があってとても見ごたえがあります。作者様の緻密な描写からその風景が思い浮かぶようでもあり、重厚な世界観がお好きな方にはとてもお勧めしたい作品です。