神作です。web小説マニアの人がもしweb小説を見ていない人にお勧めするなら何の作品がいい?と聞かれたらまずこの小説の名前を出すでしょう。読みやすさ、伏線、展開、主人公、ヒロイン、世界観、更新速度、何もかもが一級品です。
大切な人を取り戻すために途方もない金額を要求されたなら、あなたはどうしますか?ほとんどの人は過酷だけどある程度現実的な普通なことをしてなんとかしようとするでしょう。それが普通の人の選択だと思います
けれど主人公ウルは過酷であり得ない非現実的な選択である世界に数人しかいない金級冒険者を目指す道を選んだんです。
彼は凡人です。
特に優れたことのない、普通なら普通の人と結婚して普通に暮らすぐらいの普通の人です。しかしその精神性は怪物であり覚悟さえ決まれば誰も思いついてもすぐに切り捨てるような道を選ぶことのできる常人の殻を纏った異常者でした。必要な時に“たが”を外せるイカれたやつでした。そしてそんな彼の歩む道に登場人物や読者の僕らは惹かれていき、最後まで見たいと心惹かれていきます。
まだこの小説を読んだことが無いそこのあなた!まじで面白いです!騙されたと思って読んでください!最初から最後までずっと面白いです!というか完結済みの作品の中で一番面白いです!
どうかこの1人の冒険者の歩む道を共に楽しみませんか?
読後の納得感満足感充足感は満点。
勿論キャラクターは魅力的、その掛け合いも面白く、何よりこれ程の長編徹頭徹尾ダレることなく読ませる構成力は驚異的。
戦闘描写に於いても、書ける作家さんにありがちな冗長展開にならず常に捻りの利いた展開で楽しませてくれる。
正直「何やら悪い封印を解こうとしてる何者か」と戦った時に「結果封印を解くの間に合いませんでした」だとか、「強敵を倒したと思ったら、なんだか強くなって蘇った」だとかいう、「之までの戦い何だったんだよ」的なちゃぶ台返しな展開を捻りなくそもままやる作品にはうんざりですが、本作はちゃんと一捻り加えてくれるので素晴らしい。
…まぁちょこっと長いかな?と思わないではない所はありますが(小声)
更に言うと、万事ウェットになりすぎずシリアスなシーンであってもユーモアが有るのも魅力。
贅沢は話をすると後日談を読みたくあるけれど、無いものは仕方ない。
とりあえず現状出ている書籍版3巻、購入させて頂きました。
読みやすい導入部、文体のとっつきやすさにするすると引き込まれ、
気がつけばどっぷりはまって一気読みでした。
読み進むと、どんな脇役のキャラクターにもしっかりとバックボーンがあり、
誰を主人公にしても面白い物語になりうるんじゃないかってくらい、
情報量が分厚い魅力的な物語世界。
その中で台風の目となる主人公が、苦労を重ねてのたうち回りながら力を得ていくのですが、
元々ぱっと見には秀でたものは何も持たない彼が、
考えて工夫して試行錯誤を重ね、味方を得て敵を得て、自分達のホームと呼べる場所を作り上げていく。
目的を諦めない精神の強さ、追い詰められ命がけでも真っ当であろうとする善性で、
とんでもないジャイアントキリングの連続に説得力を持たせる展開に痺れました。
あと、主人公が敵味方関係なくちゃんと相手の話を聞いて相手が大事にしているものをバカにしないのがね、
ほんと精神の王者だなって。